「消えたコメ」の謎、供給不足の原因は不明のまま 価格高騰が消費者や政策翻弄

食卓の主役であるコメの値上がりが止まらない。供給不足の原因が不明のまま、コメ価格高騰の影響は家計だけでなく日本銀行の金融政策にも波及している。政府は今週、コメ需給逼迫(ひっぱく)の緩和に向け、備蓄米の放出を開始した。
コメ価格は高止まり
コメ価格は、昨年夏ごろから上昇が続いている。秋の収穫量は前年を上回ったため、コメ不足はすぐに緩和されるとみられていたが、今年に入って価格はさらに高騰。政府は備蓄米の放出を余儀なくされ、10日から入札を実施した。3月下旬にもスーパーなどの店頭で販売される見通しだ。不作や災害などの緊急時以外の流通円滑化目的での放出は初めて。

日本のコメ流通の仕組みは複雑で、生産者は一般的に「集荷業者」と呼ばれる仲介業者にコメを渡し、その業者が卸売業者に割り当て、卸売業者が小売店やレストランに販売している。2024年に収穫されたコメは前年比で約18万トン増加したにもかかわらず、集荷業者が集めたコメは今年1月末時点で同23万トン少なかった。農林水産省は、この「消えたコメ」の所在を明確には説明できていない。