「消えたコメ」の謎、供給不足の原因は不明のまま 価格高騰が消費者や政策翻弄

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物価高騰に対する消費者の不満の高まりは、自由民主党が過半数を割り込んだ24年10月の衆議院選挙にも影響を及ぼした可能性がある。政府は今年2月、コメ価格の安定に向け備蓄米の放出を決定した。

しかし、消費者の不満は収まらない。東京都内のあるスーパーでは、コメの棚は依然として半分も埋まっておらず、「1家族1袋まで」と書かれたはり紙が貼り付けられていた。

「最近コメは買っていない、高過ぎる」。買い物に訪れた尾関豊さんは、食パンをエコバッグに詰めながら「高騰は政権のせいだ」と話した。コメが店頭に並んだら購入を検討するという。

価格競争

20トン以上を取り扱う集荷業者は届け出制で、コメの移動は政府に報告しなければならない。最も規模が大きく、市場流通量の約半分を占めるのが農業協同組合(JA)。その他にも数百社の仲介業者が存在するが、多くは長年にわたって同じ取引関係を持つ小規模な地元企業だ。

栃木県で農業法人の代表を務める海老原秀正氏によると、集荷業者間の競争は激化している。小規模な業者は、通常JAよりも300-500円高い価格で、玄米60キロを買い取っていた。しかし上乗せ額は今、3000-4000円にまで上昇しているという。

それだけコメが逼迫していて、仕入れ値が高くても売り先があるのだろうと海老原氏は言う。今回の高騰を受け、農家による自主流通がより盛んになると予想。「その方が良い競争が生まれる」との見方を示す。

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