つくばエクスプレス「両端」で動く延伸構想の今 東京方面と土浦方面、茨城県は「一体整備」推し

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市長が期成同盟会の会長を務める茨城県守谷市の担当者は、「東京で臨海地域地下鉄構想が進む中、TXが接続すれば利便性がさらに上がる。これまでもTXの東京延伸を求めてきたが、これをさらに広げていこうという流れ」と、新組織発足の狙いを語る。

臨海地域地下鉄構想については東京都が2024年2月、りんかい線を運営する東京臨海高速鉄道や鉄道・運輸機構と3者で事業計画の検討を進めることで合意。現在検討が進められている。

つくばエクスプレス 秋葉原駅
東京側の終点、秋葉原駅(撮影:大澤誠)
【図と写真でもう一度】TXの両端で動く延伸構想と茨城県の試算、そしてTXの車両や駅と周辺風景

「両端」の延伸構想、今後どうなる?

茨城県が掲げる「一体整備」には、このような動きも後押しにして土浦延伸の実現につなげたいとの思惑もありそうだ。

東京圏の鉄道新線の整備は、前述の交通政策審議会がまとめた答申に基づいている。前回2016年の答申は2030年ごろまでの整備を念頭とした内容であり、それ以降の新線整備を考えると次期答申は2030年ごろに取りまとめられる可能性が高いとみられる。県は「次の答申を見込み、そこに盛り込まれることを目指していけるように」(交通政策課)と今後の動きについて説明する。

ただ、前述の期成同盟会に参加する自治体の担当者は、茨城県の素案について「土浦延伸と東京延伸を一緒に進めれば採算性が上がるということだと思うが、土浦延伸はこちら側(沿線自治体)から出た話ではない」として、「流れが一致しているわけではない」との考えを示す。あくまで東京延伸と土浦延伸は別物という姿勢がうかがえる。土浦延伸には採算性などの面から慎重な意見も目立つ中、一体整備案がどれだけ支持されるかは今後の調整次第といえそうだ。

TXの両端でじわじわと動く延伸構想。とはいえ、どちらも具体的に事業化が決まっているわけではなく、実現するとしてもこの先のプロセスは長い。はたして可能性が高いのは両方か、あるいはどちらか一方か。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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