つくばエクスプレス「両端」で動く延伸構想の今 東京方面と土浦方面、茨城県は「一体整備」推し
四段階推計法は鉄道新線などの需要予測では標準的な手法で、TX開業時の予測もこの方法に基づいている。だが、「TXの輸送人員は、四段階推計法に基づく開業時の予測を大きく上回っている」(県交通政策課)。実際、開業時の予測では2025年度の見込みだった1日平均利用者数31万5000人は、2013年に大幅に前倒しして達成。コロナ禍前の2019年度には40万人近くまで伸びた。
県交通政策課によると、四段階推計法は鉄道を延伸しても交通の発生量や地域間の流動は将来も変わらない前提で推計するといい、「より的確に需要をとらえるためには、路線延伸で誘発される交通などを考慮した手法が適している」として、こういった効果を需要予測に反映できる応用都市経済モデルを採用したという。

延伸区間の利用者数「倍以上」に
この手法に基づく今回の素案では、以前の想定で1日当たり1万人だった延伸区間の輸送人員は倍以上の2.2万~2.5万人に増加。もともと存在する通勤通学需要などだけでなく、通勤圏の拡大など延伸による効果を見込んでいるためで、将来の人口増減も踏まえた数字という。この新たな需要予測によって、費用便益比や採算性の数値が大幅に向上したわけだ。
ただ、県によると今回採用した応用都市経済モデルは「道路関係(の需要予測)などで事例があるが、鉄道延伸について用いるのはおそらく初めて」。標準的な手法による推計とは差があることから、予測の妥当性についてはさらに精査する必要もありそうだ。

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