つくばエクスプレス「両端」で動く延伸構想の今 東京方面と土浦方面、茨城県は「一体整備」推し
同年の段階で課題となっていたのは採算性や費用対効果だ。土浦延伸の概算事業費は、当時の試算で約1400億円。1を超えると整備の効果があるとされる「費用便益比(B/C)」は0.6で、黒字化は難しいと推計された。これを受け、「精査して事業性を高めるために検討を進めてきた」(県交通政策課)のが、今回公表した事業計画素案だ。
今回の素案では、以前の想定で1を下回っていた費用便益比については1.60に向上。黒字化は困難としていた採算性についても、43年で累積資金収支が黒字化するとの見通しを示した。ここまで大きく変化した理由は、需要予測のシミュレーションの方法を変えたためだ。

シミュレーションに新手法
素案によると、延伸区間の距離は約10kmで、JR常磐線の土浦駅に隣接して「新土浦駅」を設置する。以前の想定では中間の駅は2カ所だったが、コストを抑えるため1カ所とし、さらに地下区間を減らすなどして概算事業費を以前の想定より80億円少ない約1320億円とした。これは「以前と同じ条件ならもっと下がっていたが、建設費の高騰などを含めたうえでシミュレーションした額」(県交通政策課)という。開業目標は2045年だ。
今回の需要予測は、以前の想定の際に使用した一般的な手法である「四段階推計法」ではなく「応用都市経済モデル」という方法を用いてシミュレーションした。

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