鉄鋼より自動車産業を優先した石破政権の腹の内 「日本製鉄で譲歩し関税逃れ狙う?」トランプ懐柔へ深謀遠慮

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では、日本政府はトランプ大統領の貿易戦争にどう対処するのだろうか?

トランプ大統領の矢面に立つ他の国々と一緒になる可能性もある。「その代わり、日本は単独で“目立たない”アプローチを取るつもりだ」と、ある情報筋は説明する。

トランプ大統領がほかの国々に何をしようと、日本は関税の免除を求めるだろう。武藤容治経済産業大臣は、そのような免除を要請するためにワシントンに行く手配をしている(もちろん、日本自身が免除されたとしても、中国やメキシコのような関税被害国への日本の輸出は大きな打撃を受けるだろう)。

トランプ大統領と対立したり、経済合理性を主張したりしても、免除は得られない。その代わりに、有権者の目に良く映るような贈り物をすることで、トランプ大統領の機嫌を取るのだ。

だからこそ石破首相は日本製鉄による買収を撤回し、日本政府は対米直接投資を2023年末の7830億ドルから1兆ドルに増やしたいとトランプ大統領に言ったのだ。

トランプ大統領はまた、日本がほかの国ではなくアメリカから化石燃料をもっと輸入するよう求めた。もちろん、このような決断を下すのは民間企業であり、石破首相はそれを強制することはできない。それでも、陳情者のような口調で話すことは、トランプ大統領の「タフガイ」のイメージを高めるのに役立つ。

日本製鉄はトランプの考えを変えられるか?

日本製鉄はトランプ大統領の承認なしにUSスチール(USS)を買収することはできない。トランプ大統領はこれまでも時折は翻意してきたが、それは自分の利益になるときだけだった。

中西部工業州のブルーカラー有権者の多くは、製鉄所で働く労働者としてではなく、ナショナリストとしての立場から日本製鉄による買収に反対している。トランプ大統領の考えを変えるために、日本製鉄は何を提供できるのだろうか?

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