鉄鋼より自動車産業を優先した石破政権の腹の内 「日本製鉄で譲歩し関税逃れ狙う?」トランプ懐柔へ深謀遠慮

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なぜ石破首相はトランプ大統領をなだめるために日本製鉄を切り捨てたのか? ひとつには、自民党がこの夏に選挙を控えており、石破首相は世論調査で劣勢に立たされているため、首脳会談を成功に見せる必要があった。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が身に沁みたように、大きな問題でトランプ大統領と意見を異にすることは失敗のもとだ。

実際、信頼できる情報筋によれば、石破首相が首脳会談の準備をしていたとき、次のような助言を受けたという。

「トランプ大統領に反対しないこと」「短い文章で話すこと」「トランプ大統領に論理を使わないこと」「日本の投資がいかにアメリカに利益をもたらすかを話すこと」

帰国後、日本のテレビ番組に出演した石破首相は、「トランプ大統領は日本製鉄のUSスチールへの投資を50%以下にすることを断固として譲らなかった。もし私が最初からそれを即座に拒否していたら、交渉は決裂していただろう」と語った。

自動車産業の重要性

第二に、日本の経済的優先順位である。アメリカにとって、日本製鉄は「国家安全保障上の脅威」とも言われているが、アメリカがどの国からの自動車、コンピューター・チップ、医薬品の輸入品にも25%の関税を課すとことによる経済的影響に比べれば矮小な話だ。

日本国内の自動車産業の規模と従事者の数は、鉄鋼のそれと比べて大きく上回っている。さらに日本の自動車メーカーがアジア全域で市場シェアの大幅な低下に苦しんでいる今、北米向けの販売が大幅に減少すれば、日本にとって大惨事となる。

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