「条件付き金利」は、いわゆるポイント経済圏に重きをおく勢力にとって有効で、銀行とクレジットカード等の決済、通信や証券などのグループ連携を強める武器としても使われている。あるネット銀行の関係者は「金利に惹かれて集まってきた預金利用者は、より金利が高い預金を見ればそちらに移っていってしまうものだ」と言う。しかし、金利とお金の出入りを組み合わせて“接着”しておけば、簡単には逃げていかない。自社の経済圏に囲い込むために、条件付き金利は武器になる。逆に条件なしの金利引き上げの方は、やがて頭打ちになっていくのではないか。
普通預金の金利が上がることの意味
とはいえ、だ。普通預金の金利に実際のところ、どれだけ意味はあるのだろうか。
もちろん、預金金利が上がるのは嬉しい。もう何年も0.001%などというゴマ粒のような数字を見せられ、預金してもお金は増えないと聞かされ続けてきたのだから。それに比べれば0.2%でも晴れやかな気持ちになるが、とはいえ普通預金の金利が上がることにそれほど意味があるかといえば怪しい。
金利が効果をあげるのは、預け入れ元本が大きい場合だ。しかし、多くの人にとって、普通預金は「日常遣い」であり、引き出して使うのが前提で、100万円200万円以上のまとまったお金が滞留する口座ではない。
キャッシュカードですぐに引き出せたり、クレジットカードやコード決済の引き落とし先にしている普通預金口座に、多額のお金を入れておくことには危険もある。例えば、フィッシング先でカード番号や口座番号が漏れた場合だ。昨今はデビットカード一体型キャッシュカードが多いので、その番号で不正に買い物されると即座に口座から引き落とされてしまう。
特に金利が高めの銀行は、メインバンクよりはサブの地位にあるだろうから、まめに残高チェックをする習慣がないかもしれない。だからこそ、大きい金額を口座に入れてそのまま放置――という行動にはリスクがあると思ってほしい。一度に振り込み・送金できる金額の上限を下げておくなどの防衛策も必須だろう。
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