森永卓郎が最期まで訴えた「最も安全な投資対象」 「エヌビディアの時価総額≒日本のGDP」は過大評価だ

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1929年10月24日、ゼネラルモーターズ株に大量の売り注文が入ったことをきっかけに、ニューヨークダウは暴落に転じ、最終的に90%の値下がりとなった。

大崩壊が間近に迫っている現在のバブル

その後も世界はバブルの発生と崩壊を繰り返してきた。だが、いま発生しているバブルは、いかにもスジが悪い。

最初はGAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)を中心としたドットコム・バブルだった。それが行き詰まると、電気自動車(EV)がバブルの中心となった。だが、EVが社会に普及し始めると、充電が不便で、高コストで、何より環境対策にならないことが明らかになり、EV転換は幻となった。

そこで今度は、人工知能(AI)を活用した自動運転がバブルの中心になり、そこからAIにとって欠かせない半導体がバブルのけん引役となっている。さらに最近では、バブルの中心が宇宙開発に移りつつある。

ところが、インターネットはすでに1960年代に開発されており、EVに関しても、実は終戦直後の日本で複数の自動車メーカーが発売していた。

AIも、日本の家電メーカーは「インテリジェント家電」「スマート家電」といった名称で、1980年代には製品化していたし、半導体に至っては1960年代初頭、家電のトランジスタ(半導体素子)化が進められていたのだ。

アポロ11号が月面着陸に成功したのは、1969年のこと。つまり、いまバブルの対象となっているものはすべて50年以上前の技術なのだ。それを、いかにも新しいように偽装したものが、現在のバブルを支えている。

そもそも、アメリカの半導体メーカーであるエヌビディア1社の株式時価総額(2025年1月6日:587兆円)が、日本のGDP(2023年:591兆円)と肩を並べるのは、とてつもない過大評価である。宇宙開発も妄想に近い。月に行かなくても、はるかに暮らしやすい土地が、地球上にはいくらでもある。

つまり、現在のバブルは、とてつもない大きさに成長する一方で、すでに末期症状を呈しており、その大崩壊は間近に迫っているのだ。

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