森永卓郎が最期まで訴えた「最も安全な投資対象」 「エヌビディアの時価総額≒日本のGDP」は過大評価だ

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ところが、現実の世界では、しばしば商品価格が労働価値や使用価値を大きく超えて値上がりする。本質的な価値がなくても、欲しい人がいれば、いくらでも値段は上がっていく。「投機」が行われるからだ。その投機が膨らんだものが「バブル」である。

とくに金融商品は、取引の多くが投機で成り立っている。

たとえば、為替市場では取引の99%以上が投機だし株式市場もほぼ同様だ。そうした環境下では、しばしば株式の時価総額が右肩上がりで増えていく。だが、それは株式の価値が上がったからではなく、バブルが起きているからなのだ。

資本主義社会ではバブルは必ず発生し、必ず崩壊する

経済学者の岩井克人東大名誉教授は、「資本主義は投機を活用する経済システムだ」と喝破した。バブルの発生とその崩壊は、資本主義の宿命と言ってよい。

1630年代のオランダで、人類初のバブルが発生した。チューリップの栽培ブームが起きるなかで、球根1個の値段が数千万円と、現在の郊外の一戸建て住宅と同じ価格にまで高騰したのだ。それ以降、人類は規模の大きなものだけでも70回ものバブルを経験してきている。

バブルの対象となるものはさまざまだが、これまで起きたなかで最大のバブルは、1920年代のアメリカで発生したものだ。

当時、アメリカの自動車と家電産業は世界最強の競争力を誇っていた。フォードやゼネラルモーターズの自動車、ゼネラルエレクトリックの冷蔵庫、ゼニス社のラジオ等は圧倒的な高品質を誇り、世界中の憧れだった。1920年代は、日本のタクシーもアメ車だったのだ。

アメリカの家電や自動車企業の株価は、どんどん上がっていった。だが、いくらアメリカの家電や自動車産業が優秀でも、実力をはるかに超える株価は維持できない。

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