ダークトライアド傾向を持つ人は、普通の人なら、「これはやりすぎだ」と躊躇することでも、ためらいがありません。非常に功利的で、目的のためなら嘘も平気でつけるし、自信過剰なためにリスクをとることもできます。
実は、これは社会的な成功をもたらしやすい特質で、世界的にもCEOにはサイコパス的な特質を持った人が多いという研究もあります(例:2015年8月7日配信の東洋経済オンラインの記事「企業経営者には強いサイコパス気質がある」)。
つまり、悪しきリーダーはもともと組織の中で力を持ちやすいということですが、そうなってしまう原因は、他のメンバーにもあります。第2の仮説「リーダーを選ぶ側が、表面的な理由で不適切な選択をしてしまいやすい」について考えてみましょう。
他人について正確に評価することはとても難しい上、心理学的に言えば、私たちの脳の情報処理能力にはどうしても限界があります。そのため、少ない努力でできるだけもっともらしい結論に至るための簡便方略(ヒューリスティック)で判断してしまいがちです。
たとえば、「大企業の社長」といったら、白髪交じりでスーツを着た60歳前後の男性をイメージしてしまわないでしょうか?
CEOのほとんどが白人男性
リーダーを選ぶときにも、「なんとなくそれらしい」人が選ばれやすくなってしまいます。たとえば、アメリカの大企業上位500社(フォーチュン500)のうち、468社の経営責任者は男性で、そのうち431社は白人男性CEOだという重要な指摘がありました。
黒人男性のCEOはたった4人、黒人女性のCEOは0人だそうです。白人男性はアメリカの全人口の約30%ということなので、いかに偏った選択がなされているかわかると思います。
また、人種や性別だけでなく、「背が高い」「(見た目が)強そう」という要素にも惑わされてしまいがちです。つまり、資質に欠けるリーダーを選び出しているのは、残念ながら私たち自身でもあるということです。
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