離職の原因トップ3「給料が理由」は意外と少ない 「部下が離職は給料のせい」と言う上司の真意
もちろん、給料の額が離職の決定的な要因となる場合もあります。
それは結婚、出産、育児などで生活環境が変わり、今の給料では足りなくなった場合や、他社から今の給料よりずいぶん高い給料を提示された場合などです。
こういった場合は給料を上げないかぎり、離職を防ぐのは難しいでしょう。
そういった場合以外は、給料に対する不満は決定的な離職要因とはならず、1つの不満として心の中に積もっていきます。
それに加えて上司や会社への不満、職場の居心地の悪さ、仕事内容への不満、労働環境に対する不満、会社や業界に対する不安などが積み重なり、積もり積もったさまざまな不満が許容量を超えると、離職を決意するのです。
そのため、給料の額が離職の決定的な要因となる場合以外は、給料以外の要因に適切に対応できれば、給料を上げなくても離職は防げるのです。
以前と同じ給料では採用できない
また、経営者や人事の方から、「現場の管理職は『やる気のない部下、仕事ができない部下は辞めればいい。それでまた採り直せばいい』と思っている」という話もよく聞きます。
募集をかければ十分に人が採用できる状況であれば、新たに人を採用し直すこともできますが、今は深刻な人材難の時代です。
入社初年度の年収は募集の際に提示する年収と近似しますが、マイナビの調査によると、初年度の年収の平均額は次のように推移しています。
2020年:450.5万円 2021年:453.2万円
2022年:454.2万円 2023年:456.6万円
5年で28.4万円もの増額です。この金額は今後さらに上がると見込まれています。
また、募集の際の提示額を上げると先輩社員の年収を上回るおそれがあります。
実際、これによって部下と上司の給料が逆転している会社もあります。
その会社では上司のモチベーションが大きく下がっており、「給料とパフォーマンスは比例すべきでしょ。だとしたら、新人より給料が低い自分は、パフォーマンスも新人以下でいいってことですよね」といった発言も聞かれました。
こうなると、上司の離職の可能性が高まります。
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