離職の原因トップ3「給料が理由」は意外と少ない 「部下が離職は給料のせい」と言う上司の真意

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そうならないように先輩社員の給料を上げてから、募集の提示額を上げる会社も出てきています。

私の友人の会社では、全社員の給料を一律30%上げ、その後に募集の際に提示する給料も30%上げました。

そのため、今、社員に辞められた場合、その穴を埋めるためには、以前より高い年収を提示する必要があり、また、そのために既存社員の給料も上げなければならなくなるおそれすらあるのです。

「辞めたらまた採り直せばいい」という考えの恐ろしさ

この状況にあって「部下が辞めたのは給料が原因であって、自分の責任ではない」「やる気のない部下、仕事ができない部下は辞めればいい。それでまた採り直せばいい」という考えの管理職を放置すると、経営はひっ迫します。

ただ、十分に人が採用できた時代を経験している人は、その時の感覚のまま上記の考えで仕事をするケースも少なくありません。

そのため、離職率が高いと苦しむ経営者の方には、まず現場の管理職の方に今の人材市場の状況を理解してもらい、部下の離職を防ぐことも重要な「仕事」だということをお伝えいただいています。

「そんなことは言わなくたって管理職ならわかっているでしょう」と言って、このコミュニケーションを取ろうとしなかった経営者に、いざこのコミュニケーションをとってもらうと「現場は意外とわかってなかったです。特に人材市場の状況は知らなかったみたいです」と話されていました。

今後、人口の減少と共に人手不足はますます深刻になると見込まれています。

そのため、今のうちから経営者と現場が情報と意識を共有し、一丸となって離職率の低い職場作りを行うことが求められます。

そのためにも「部下が辞めたのは給料が原因であって、自分の責任ではない」「やる気のない部下、仕事ができない部下は辞めればいい。それでまた採り直せばいい」という考えの管理職の方とは、しっかりと向き合っていく必要があります。

藤田 耕司 経営心理士、税理士、心理カウンセラー

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ふじた こうじ / Koji Fujita

一般社団法人日本経営心理士協会代表理事、公認会計士、税理士、心理カウンセラー。これまで1200件超の経営相談を受け、心理学と会計を活用した経営改善を行う。その経験から経営者の心理、部下の心理、顧客の心理を分析し、経営心理学として体系化することで経営改善の成果を高める。また、経営心理学を学ぶ「経営心理士」の資格を創設。経営心理士講座の受講生はのべ5000名を超え、その内容は大手企業や省庁でも導入される。著書に『リーダーのための経営心理学』(日本経済新聞出版社 日本、台湾、韓国の3カ国で出版)、『経営参謀としての士業戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)。

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