ココイチ「高級化で客離れ」に見るカレー店の変容 牛丼チェーンなど強敵が参戦、高付加価値戦略に?

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CoCo壱番屋の値上げは悪手だったのか? 

では、これをもって「CoCo壱番屋の値上げ戦略は失敗だった」と断じることはできるだろうか。

私は、そう言うにはまだ早いと思っている。

現状では2025年2月期の第3四半期のみ突出して客足の伸びが悪く、一時的な影響である可能性も否定できない。ヒキのある魅力的な新メニューが登場すれば、また店を訪れる人もいるだろう。

加えて、より大きな視点で見ると、CoCo壱番屋の近年の動きは過熱するカレー業界の中でポジションを再定義するポジティブな動きだと思うからだ。

そもそも、国内のカレー市場は群雄割拠の状態がずっと続いている。

例えばチェーン店においては、牛丼チェーンのカレーへの参入が目立っている。牛丼大手の松屋は1980年代からカレーメニューを始めているが、近年では同社の別ブランドとして「マイカリー食堂」の数を増やしている。特に、松屋やとんかつの松のやとの複合型店舗の出店に意欲を見せており、1つの店舗に行けばカレーも牛丼も選べる……という状態になってきている。

増えている「松屋」「マイカリー食堂」「松のや」の複合店舗(筆者撮影) 
中はフードコートのようになっている。家族それぞれが好きなものを食べられるという利点がある(筆者撮影)

ファミリー層の場合、家族の1人が「カレーでも食べたいな」となったとき、これまでであればその1人に合わせてCoCo壱番屋でみんなでカレーを食べていたのが、「牛丼もとんかつもあるから、松屋の複合店に行こうか」となる機会も増えるだろう。

しかも、マイカリー食堂のプレーンカレーは税込530円。CoCo壱番屋と100円ほど違う。松屋だけでなく、すき家・吉野家もカレーはそれぞれ税込490円と税込465円。

どうしても値段的にはCoCo壱番屋が劣勢に立たされてしまっている感がある。 さらには、吉野家は新業態を出したりもしており、相対的にCoCo壱番屋の注目度は減少していると言えそうだ。

もう~とりこ
吉野家が2024年12月にオープンした新業態「もう~とりこ」。成否はまだわからないが、カレー業界の争がはますます激化しているのは間違いない(写真:大関まなみ)
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