ココイチ「高級化で客離れ」に見るカレー店の変容 牛丼チェーンなど強敵が参戦、高付加価値戦略に?
2024年9月からの第3四半期の客足が顕著に減ったことを見ると、この8月の価格改定によってCoCo壱番屋へと足が向かなくなった人が増えたことが予想できる。
これは壱番屋が発表したことではないのであくまで筆者の推測にはなるが、大都市に比べて賃金等が安い傾向にある地方部においては、その価格上昇がより顕著に客足に反映したと見ていいだろう。
CoCo壱番屋は地方・郊外にも満遍なく出店をしているため、地方部での客足減少は同社全体に大きな影響を及ぼすものと思われる。
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値上げをしても使われる店だったCoCo壱番屋
そもそも、CoCo壱番屋は2019年あたりから断続的に値上げを行っており、その際には大きな客離れは見られなかった。むしろ「値上げをしても客足が減らず、利益もしっかり出す」優等生のような店として見られていた節がある。
CoCo壱番屋は2024年2月期決算において前期比30.5%増の約47億円の営業利益を上げており、値上げの影響を比較的感じさせない店だった。簡単にいえば「値上げされても行きたい店」として消費者からイメージされているということだ。
単純な話であるが、企業としては最終的に「利益」がどれほど出ているかでその事業の成否は決まる。客足が落ちたとしても値上げを行い客単価が上がっていれば、今まで以上の利益を出すことは可能だ。
CoCo壱番屋がこれまで成し遂げていたように「値上げしても行きたい店」のポジションを取っていれば、客足が落ちようが値上げしようが特に問題はないのだ(しかもCoCo壱の場合、2025年2月期の第3四半期以前は客足も伸びていた)。
しかし、それが今回の値上げによって崩れてしまった(と見ることができる)。
企業調査の分析広報研究所・小島一郎チーフアナリストは日経ビジネスの取材に対して「ココイチは外食業界の中でも先んじて値上げを実施してきたが、消費者側が上昇する価格に追いつくことができなくなっているのではないか」と述べている(ココイチ、カツカレー1000円で遠のく客足 限界近づく外食の値上げ)。
ある意味、値上げが限界値に近づいたということか。
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