ココイチ「高級化で客離れ」に見るカレー店の変容 牛丼チェーンなど強敵が参戦、高付加価値戦略に?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

だからこそ、あくまで現時点ではだが、単純に「値上げが悪手だった」と断じることはできないと私は思う。 

CoCo壱番屋が向かう先は 

基本的にインフレ傾向は今後も続いていくだろう。だから、それに合わせてCoCo壱番屋がさらに高級になっていく流れは間違いない。そして、それは企業間での競争戦略としてはかなり真っ当な方向だともいえる。

ただし裏を返せば、その方向が成功するには、提供される高付加価値商品が消費者にとって納得感のあるものでなくてはならない、ということだ。今回改めてCoCo壱番屋に訪れて感じたのは、やはりそのカレーはきわめて(いい意味で)家庭的な味で、ある種カレーにおける「平均」的なものだ、ということだった。 

オーソドックスなロースカツとポークカレー。家庭的な味が支持されてきたが、これが1000円、1500円と高くなっていった時、消費者が払い続けられるかはまた別の問題だろう(筆者撮影) 

良くも悪くも安心する味なのだが、消費者により価値を感じてもらうためにはこうしたレギュラーメニューの改良や、魅力あるオリジナルメニューの開発が必須になってくるだろう。 

ニセコ化するニッポン
『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。楽天はこちら

その辺りがどの程度追いついているのか。現在のCoCo壱番屋の商品において、どこまでカレー業界の中で新しいポジションを取ることができるかは、まだまだ未知数だ。

ただ、その流れが軌道に乗ればCoCo壱番屋は現在のカレー業界の中では一味違う企業へとさらなる進化を遂げることができるだろう。そうなれば、群雄割拠のカレー業界は、今以上に面白い場所になるはずだ。

ココイチの変容は、業界にどんな影響を及ぼすのか。それより前に、消費者が値上げに耐えきれず、完全に離れてしまうのか。

今後のカレー業界の変遷も含め、その変化を丁寧に追っていきたい。 

【もっと読む】ガストが投入「990円・3品セット」何がどう凄いか 背景にはファミレス業界の大きな変容があるでは、話題となっているガストの新メニューについて、チェーンストア研究家の谷頭和希氏が豊富な写真とともに、詳細に解説している。
谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

X:@impro_gashira

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事