VWは、この多難をどう乗り切るつもりなのか

新経営陣の人物像とその手腕とは

フォルクスワーゲン・グループの技術部門では、停職処分になる人物が出るなど、厳しい処分も進められている一方、退任との噂もあったミハエル・ホルン氏が、フォルクスワーゲン・グループ・アメリカの社長兼CEOに留まる。意外だが、アメリカの販売ネットワークたっての希望によって留任となったようだ。

フォルクスワーゲンが持つ大衆車ブランドの一つ「シュコダ」のCEOを務めるヴィンフリード・ヴァーランド氏もグループの取締役に就任し、11月1日から北米地域を担当する。ダルムシュタット工科大にて機械工学の学位を取得というところまではドイツ車メーカーのエグゼクティブの常套だが、1987年にオペルに入社し、GMインスティテュート(現Kettering大学)にてMBAを修めている点に着目したい。

GM発祥の地であるミシガン州フリントにある大学で、戦前からGMのサポートを受けており、GMの管理職を養成する教育機関として機能してきた。ヴァーランド氏は、GMヨーロッパにて製造戦略検討のトップを務めた経歴も持ち、フォルクスワーゲン・グループでは南米や中国といった新興国のファイナンスを担当してきた。つまり、ヴァーランド氏は、アメリカの自動車産業における”やり方”をよく知り、VWの成長のカギである新興国の経済を知る人物だ。

グループ再編にも着手

そのほか、グループの調達担当取締役として、フランシスコ・ハビエル・ガルシア・サンス氏の契約を5年間延長する。セールス&マーケティング担当取締役のクリスチャン・クリングラーが退任し、セアトの前会長であるユルゲン・シュタックマンが引き継ぐ。ただし、クリングラーの退任は戦略の変更に伴ってのことであって、今回の件とは別だと発表されている。

量産ブランドであるフォルクスワーゲン、セアト、シュコダには、早急にメスが入れられた。10月1日から、それぞれの責任者として、グループの取締役が就任する。シュコダのCEOは、前述のヴァーランド氏の後任として、ポルシェのセールス&マーケティング担当取締役だったベルンハルト・マイヤー氏が就く。セアトの会長であるシュタックマン氏の異動に伴って、後任にアウディのセールス&マーケティング担当取締役であるルカ・デ・メオ氏が就くことになる。

傘下の各ブランドをマネージメントする組織の構造改革も伴う。2010年にミュラー氏から聞いたコメントにもあった通り、ポルシェ・グループがベントレーとブガッティと共に、スポーツカーおよびミドシップのための開発拠点の中心となる。もちろん、ミュラーCEOの直轄だ。ランボルギーニとブガッティを含むアウディ・グループは継続する。

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