VWは、この多難をどう乗り切るつもりなのか 新経営陣の人物像とその手腕とは

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公式プロフィールには紹介されていないが、このインタビューの際に、ミュラー氏の父親が「DKW」でモータースポーツに関わっており、少年時代にサーキットに連れて行ってもらったことに話題が及んだ。DKWとは独アウディの前身にあたる4社のうちの1社で、自動車とバイクを製造していたメーカーだ。

ミュラー氏は大学ではコンピューター・サイエンスを専攻したが、1990年代にボランティアとして日本に住んでいたことがあり、その際にトヨタ、ホンダ、マツダ、スバル(富士重工業)、といった日本車メーカーを通して自動車に詳しくなったそうだ。

「A3」「TT」「A8」を成功に導く

確かにアウディは、ミュラー氏がプロジェクト・マネージメントを担当した「A3」でコンパクトカーに進出し、「TT」でスポーツカーの分野での成功を収めた。「A8」の成功によって、プレミアム・ブランドとしての地位も確立した。さらに当時のミュラー氏は、ポルシェの新CEOとしての経営方針も語ってくれた。

「フォルクスワーゲン本社のあるウォルフスブルク、アウディが拠点とするインゴルシュタットに続き、ポルシェの研究所があるバイザッハは、グループにとって3つめの大きな研究開発拠点になります。パナメーラ、ベントレーなどの上級ブランドに加えて、ケイマン、R8、ガヤルドなど、ミッドシップのスポーツカーの開発拠点になる計画もあります。プロダクトとは、製品や製産だけではなく、経営、顧客、サービス、ロジスティックなど、すべての要素が関連して形成されるものです。良いプロダクトを生むことこそが、自動車メーカーにとって成功の秘訣なのです」

フォルクスワーゲン・グループの公式発表文からも、ミュラー氏の人物像が見えてくる。

「戦略、経営、社会適応性において優れた人材です。フォルクスワーゲン・グループおよびブランドをよく知っており、全力で新しい任務に取り組むことができます。監査役会は、彼の物事を建設的に見極める能力を評価しています」(監査役会会長(暫定)、ベルトホルト・フーバー氏)

「必要なのは、拙速に物事を決める人ではありません。彼の意志の強さと決断力を特に評価しています。独断的ではなく、チームプレイヤーです。それこそが今のフォルクスワーゲンに最も必要なことです」(グループ従業員協議会会長、ベルント・オースタロー氏)

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