「ガンダムをデザインした男」は何が違うのか メカデザイナー・大河原邦男氏の仕事術

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──大河原さんが仕事で怒る姿を見たことがないという人も。

いや、怒ることはありますよ(笑)。でも、相手が求めるものを探るのが仕事なので、あまり熱くなると仕事に差しさわる。「まあ、いいか」というくらいの気持ちでやらないと。

演出家から言われたことに反論はしない。仕事を早く終わらせて次の仕事に取りかかるほうがいい。これまで43年、この仕事をやっているが、大体そういうやり方だ。

「ザク」は主役より格好よくしたかった

──ガンダムのデザインは?

大河原邦男(おおかわら・くにお)  ●1947年生まれ。東京造形大学卒業。オンワード樫山を経て竜の子プロダクション(現・タツノコプロ)に入社。「科学忍者隊 ガッチャマン」でデビュー。以降、メカニックデザイナーを名乗る。78年フリーに。主な参加作品に「タイムボカンシリーズ」「機動戦士ガンダム」「装甲騎 兵ボトムズ」など。

最初に描いたデザインでは顔に口がついていた。でも「こういう物語ではメカに口は不要」ということで、今のようなマスクで覆ったデザインになった。

──ガンダムの敵役モビルスーツ「ザク」のデザインが秀逸です。

当時のロボットアニメでは主役ロボットと戦う「やられメカ」が毎週登場していたけど、「ガンダムは戦争物なので、やられメカではなく兵器として扱いたい」という監督の意向があった。監督からのリクエストはただ一つ、「一つ目」ということだけ。当時は商品化を想定していなかったので、自由にデザインできた。主役のガンダムよりも格好よくしたいという意地もあったし。第1稿か第2稿で、すぐオーケーが出た。

──モビルスーツの内部図解のイラストが実に格好いい。

内部図解なんて全部うそ。1枚描くといくらもらえるということで、何でもいいから線をいっぱい描いて空間を埋めるという作業をひたすら繰り返しただけ(笑)。

でも、それを見た子供の心に少しでも残って、将来エンジニアや技術者になって、「あれを再現したい」と思ってくれると、メカデザイナーとしては冥利に尽きる。実際、子供の頃にガンダムを見てロボット開発者になった人もいますしね。

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