「ガンダムをデザインした男」は何が違うのか メカデザイナー・大河原邦男氏の仕事術

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──ガンダムのイラストには、アニメにはない“汚し”やマーキングが描かれていて非常にリアルです。

実際の兵器の使い古した感じをテレビでは表現できなかったので、イラストを描くチャンスがあれば、チャレンジしてみたいと思っていた。でも、あれは当時はやっていた『スター・ウォーズ』のパクリ。あの頃はハリウッド映画やSFのイラスト集を参考にしていた。

アニメは共同作業、自分だけでやるのはよくない

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──最近の“パクリ問題”をどう考えますか。

私が描くようなイラストと違って、グラフィックというのは丸とか三角といった基本的な形状の組み合わせなので、使えるものの幅がものすごく狭い。ネット検索で類似のものを容易に探すことができる現代は苦難の時代だと思う。

私の描いたオリジナルがほかで使われたらしい、といったこともある。でも裁判する暇があったら、新たな仕事をやるほうがずっと賢い。

──今のロボットアニメをどう思いますか。

CGになったおかげで、線や面の重要性が薄れている。手描きアニメの時代はデザインの線を1本増やすとアニメーターの手間がその分だけ増えた。アニメーターは1枚いくらの歩合給なので、1枚の絵に対する労力が増えると実入りが減る。それでメカデザイナーとしては気を利かせて、なるべく少ない線で魅力的な形ができるよう心掛けた。

今のCGの時代はどんどん線が増えている。線がないのっぺりした面は、今のメカデザイナーにとっては怖いのかな。みんな何かしら線を入れたがる。私が最近メカデザイナーとして参加したアニメは、線が少ないですよ。それでも演出力や作画力で魅力は十分に出る。アニメは共同作業だから、自分だけとことんやってしまうのはあまりよくない。ある程度はスタッフを信頼したほうがいい。だから、メカデザインだけよければいいというのはちょっと問題かな。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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