「内向きのトランプ」に今石破首相が語るべき言葉 茂木敏充氏が考える、「トランプ2.0」の日米外交

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――1期目当時の、安倍晋三首相との良好な関係性が今でも生きていて、2期目もトランプ氏は日本に対してわりと融和的である可能性もありますか?

可能性はあるでしょう。日本からアメリカへの投資は増えています。トランプ氏が問題視していた貿易赤字も縮小している。ただ、アメリカにとって状況がよくなっていることは確かなんですが、じゃあトランプ氏がそれでよしとしているか。これはわからない部分があります。

――もう1つは、安全保障の面です。対中国では、アメリカと日本はどうしても連携していく必要があります。一方でトランプ氏は日本に「安保タダ乗り論」を再び突き付けてくるかもしれない。自衛隊のさらなる貢献が求められるのか、それとも日本が防衛費をさらに増やす必要に迫られるのか。いかがでしょう。

トランプ氏はNATOのほうにはそういう要求をすでにしていますね。日本としては、ひとまず防衛費をGDP比で2%まで増額することを決めた。伸び率のカーブでいうと日本が他国に比べても高い。こういう説明を、日本としてはきちんとしていくことになると思います。

むしろ今は、中国が日本に対していろんな点で融和的ですよね。これは中国が米中間の対立などを想定しながら、いろいろな国に対して「あまりアメリカと組まないように」という動きをしているものと考えられます。

逆に米中の関係がうまくいき始めると、今後は中国が日本に対して厳しい姿勢、力による一方的な現状変更などを振りかざしてくる危険性があるのではないかと思います。

安倍氏がトランプ氏に行っていた「インプット」

――つまり米中が日本の頭ごしに関係を修復してしまうと、そのときが実は日本のいちばんの危機になると。

その可能性はあります。1期目のとき、安倍首相(当時)がトランプ氏とよくゴルフをしていましたが、その際に最もよく話していたのは中国の話。ゴルフを楽しんでいるようで、カートに乗りながら「実は今、中国はこんなこともやっている」「気をつけたほうがいい」といった話をトランプ氏にインプットしていたのは間違いないんですよ。

もちろん中国も国際社会の一員ですから、ルールを守ってもらったり、協力してもらったりする部分はあるんですが、中国の言っていることをそのまま信じたら結構大変なことになるんだと。やっぱり、自由で開かれた国際秩序をつくっていくうえで、日米の連携が中核なんだと。

中国を仮想敵にするわけではないけど、秩序を乱そうとする勢力には毅然と対応していこうというのを、トランプ氏にしっかりインプットすることが必要です。ただ、おそらく官邸も外務省も含め、(石破首相が)今回の訪米でやろうとしていることは、何にせよ共同声明を作っちゃおうということではないかと。

事前にある程度声明を作ってしまって、あとは首脳会談のときには、失点がないように。そこでトラブルが起きないように。それで内容について聞かれたら、「共同声明のとおりで、日米の協力関係をいろんな分野で進化をさせていって、日米同盟をより強固なものにしていくことを互いに確認した」とか、こういう形にするんじゃないですかね。

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