「内向きのトランプ」に今石破首相が語るべき言葉 茂木敏充氏が考える、「トランプ2.0」の日米外交
――「失点がないように」という考え方は、ものすごく守りの印象ですね。
1期目と2期目のトランプ政権の違いを見てみると、1期目はトランプ氏が本当にギリギリで勝ったわけです。しかも同じ共和党内でもトランプ氏を支持しない層が一定いて、国務長官がなかなか決まらなかったりと、人事にもかなり苦労していました。
ところが2期目は一転、政府高官の指名もスムーズに進んでいいて、トランプ氏は自信を持っていると思います。人事の決定の要素は3つ。1つ目は選挙への貢献度。票獲得とお金の両面です。2つ目は、トランプ氏への忠誠心。3つ目が、実際に政策を執行する能力です。チームとしても、圧倒的に一体感があるんですね。
国民に約束した「Make America Great Again(MAGA)」を実行するための能力や対外的な交渉力は、かなり高まっているのではないかと思います。1期目に比べ、強い政権ができている感じがしますね。
日本企業も打撃を受けることに
――2期目のほうが付き合いにくい、怖い政権になるでしょうか?
それは国にもよるでしょう。例えばメキシコ、カナダには25%の関税をかけるという形になっています(編集部注:収録後の2月4日、トランプ氏は2国に対する関税発動の延期を表明)。1期目の際もメキシコ、カナダとの間の通商協定であるNAFTAを見直そうという動きはあったものの、確か政権発足から1年以上時間が経ってからのものでした。
それが今回は政権発足から2週間で打ち出した。かなり動きが速いです。これはメキシコ、カナダだけではなく、日本にも関連してくる問題です。例えばメキシコでは今、日本の自動車メーカーが年間123万台の車を造っていて、この6割に当たる74万台はアメリカに輸出しています。
大手自動車メーカーはもちろん、関連する部品メーカーもかなり現地に進出していて、打撃を受けることになります。メキシコと同様に、カナダでアメリカ向けの自動車を生産している日本企業も多くあります。
――日本に対する関税という話にはまだなっていませんが、これからの通商交渉や日米首脳会談の中で、トランプ氏が日本に対しても厳しい要求を打ち出してくる可能性はあるでしょうか。
そこはわかりません。1期目のときにトランプ氏は、対日貿易赤字についてかなり問題視していました。ところが今は、中国、メキシコ、カナダ、そしてEUに対してかなり批判的なことを言っています。
日本に対しては今のところ、特段の言及がありません。とはいえ、会ってみないと何を言い出すかはわかりませんが。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら