山火事にならない?「野焼き」が現代に復活の理由 春を告げる野焼きは全国で100カ所以上で実施
少しずつ、寒さが緩んできた。草原の火入れ、山焼きとも呼ばれる「野焼き」が2月1日、利根川流域の小貝川の河川敷で行われた。かつては牛馬のエサや屋根材の確保に欠かせなかった草原や湿原。野焼きはその維持のために行われてきた。
近年、各地で復活し、現在全国100カ所以上で行われている。なぜ野焼きをするのか。植物や生きものは大丈夫なのか。野焼きのメカニズムとともに、「復活」のなぞに迫る。
小貝川河川敷に100人以上が集合
1日午前9時15分。小貝川河川敷の「野焼き第1ポイント」となったクヌギ林とその周辺に、ガスバーナー、ジェットシューター(水が入った袋を背負い、手にしたノズルから水を噴射する消火や防火用の機材)、草を刈る刈払機、そして竹製の熊手や鉄製のレーキを手にした人たちが散って、作業を開始した。
パチパチと音をたて、オギ、オオブタクサ、ヨシといった草に火が広がる。刈払機がブルル、ガーとうなり声をあげ、時折シャキーンという金属音も響き渡る。
人々が配置に着く前、堤防の上の集合場所で、ミュージアムパーク茨城県自然博物館の名誉学芸員、小幡和男さんが手順を説明しながら、注意を呼び掛けた。
「火に巻き込まれることを避けて。延焼食い止めよりも命が大事」「輻射熱で顔をやけどしないように、気を付けて」
火が広がるスピードは速い。「ジェットシューターの人、来てください!」。女性が叫ぶと、水が約20リットル入るオレンジ色の袋を背負った人が走る。熊手やレーキを持った人たちは、草をたたいて火を消したり、時には広げたり。
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