山火事にならない?「野焼き」が現代に復活の理由 春を告げる野焼きは全国で100カ所以上で実施
準備作業では、生きもの観察を続ける地元の団体のメンバー親子や、茨城県立下館第一高校の生徒など子供たちが活躍。作業の指導をした西廣さんは50代、小幡さんは60代、的場会長は70代と各世代にまたがる人たちがリードし、大学生や小中高生がよく動いた。「次の世代が育っていることがなんともうれしい」と的場会長は声を弾ませた。
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かつての野焼きとの違いは?
野焼きは、雨や強風など天候条件に左右される点が難しい。地域ごとに行われていたかつての野焼きでは、天候の様子を見て地域で作業時期を決めて集まる。イベントとして参加者を募って行われる場合、臨機応変な期日変更ができない。
小貝川河川敷の野焼き現場から西に約8キロ離れた菅生沼では、近くにあるミュージアムパーク茨城県自然博物館が主催し地域の団体と協力して、2003年1月から野焼きを実施している。「絶滅危惧種のタチスミレの個体数増加が目的でした」(学芸員の伊藤彩乃さん)という。
今年は1月26日に菅生沼の河畔で行われた。草を刈って防火帯を作り、6区画に分けて火入れを行ったが、前々日の雨が響いて着火後にうまく燃え広がらなかった。博物館の募集に応じた約170人がいったん解散した後、作業に慣れたメンバーが燃え残った範囲の草を刈払機で刈り、集めるなどして燃やし切った。
博物館が現在把握している希少な植物は、環境省のレッドリストの6種、茨城県のレッドリストの7種。来年度から本格的な植生調査を行う。
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アメリカ、欧州、オーストラリアでは、たびたび山火事が起こる。そのため、英語でいうとFire Ecology、日本語にすると火生態学という研究分野がある。建物火災とか車両火災ではなく、焼き畑、山火事、野焼きなどによる火と自然の関係を扱う。
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