山火事にならない?「野焼き」が現代に復活の理由 春を告げる野焼きは全国で100カ所以上で実施

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

主催者は、茨城県常総市の市民らがつくる「自然友の会」。茨城県自然博物館の強力なサポートのもと、常総広域消防署、下館河川事務所への野焼きの申請、河川敷にある畑など私有地の地権者や近隣住民の理解を得るなどの手続きを行う。

会長の的場伸一さん(72歳)によると、1986年8月の小貝川の水害を受け、河川敷のクヌギ林の伐採が計画されたことが発端。伐採は、大雨により川が増水した際の水の流れをスムースにするためだったが、ここには絶滅の恐れがある植物が何種類もあることがわかっていたため、反対の声が上がった。地元の高校の生物の教師などが中心になって自然観察を行っていた「自然友の会」は粘り強く署名活動や交渉を行った。

その結果、国土交通省の理解と協力を得て、核心部分の樹林が残された。その後、希少な植物の保全策の一環として、野焼きが始まった。もともと農家の人たちが病害虫駆除などのため、野焼きを行っていたのを復活させた形だ。

野焼き準備作業の参加者に配布されたもの

地元の水海道地区は、かつて鬼怒川を行き来する舟運の要所として栄えた街。的場会長は「『絶滅危惧種の植物を守れないようでは、水海道の市民の文化度が問われる』という私の前の会長の言葉を胸に会の活動を続けてきた」と話す。

1月25日の野焼き準備作業の参加者には、「常総市小貝川淵頭地先およびその周辺の絶滅危惧植物」として19科29種をリストアップした紙が配られた。茨城県のレッドリストで近く絶滅の危険性が高い「IA類」、環境省のレッドリストにも載るタチスミレやヒメアマナが含まれている。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事