山火事にならない?「野焼き」が現代に復活の理由 春を告げる野焼きは全国で100カ所以上で実施

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クヌギの林の中で、国立環境研究所の西廣淳さんが声を上げた。「熊手を持っている人は、固まった草葉を広げるように崩してください。火が同じところにじっととどまると、地面の中の根っこが焼けるので。火がほかに移るように燃えていないところに動かしてあげてください」

小幡さんは、市民の環境活動に力を入れてきたことで知られる植物の専門家。高校で生物を教えた後、茨城県自然博物館、霞ケ浦環境科学センターで活躍した。西廣さんは、国立環境研究所気候変動適応センター副センター長で、生態系に配慮した気候変動対策などの研究で知られる。二人は野焼き作業現場を駆け回り、きめ細かな指示を繰り出した。

野焼きはこのほか河川敷の2カ所で作業を行い、約2時間半で無事終わった。

希少種ヒメアマナが自生する第2ポイントの野焼き作業(撮影:河野博子)
小貝川野焼きの第3ポイントは柳の大木の林。5月には希少種タチスミレが咲く(撮影:河野博子)

25回目になる小貝川野焼きの発端

2月1日の野焼き作業が順調に終わったのは、その1週間前、1月25日の土曜日に約100人が集まり、防火帯作りなどの作業を済ませたからだ。利根川上流域の群馬県みなかみ町藤原で活動する「森林塾青水」などの市民団体、京都大学、東京農業大学、名古屋の名城大学など参加者は全国から駆け付けた。しかし、前日の雨で着火が難しいとの判断から、野焼き自体は1週間延期された。

生態系や生物多様性の保全に関心がある人たちの間で、1月末に行われる小貝川の野焼きは有名だ。2000年に始まり、今回で25回目になる。

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