「パズドラ」ガンホー、株主がかみついた"高額報酬" 業績・株価低迷の一方、社長報酬は任天堂に匹敵

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森下社長は、ガンホーが2002年に主力事業をゲームへ転換した際に経営を主導した、実質的な創業者だ。パズドラのエグゼクティブプロデューサーを務め、現在もゲームの企画・開発・監修まですべてに携わっている。

ガンホーの森下一喜社長
ガンホーの実質的創業者であり、現在も開発責任者を務める森下社長。写真は2022年(撮影:尾形文繁)

パズドラが大ヒットした2013年度には、海外展開の強化などの成長戦略を「カズノミクス」と銘打って発表。「パズドラを創ったガンホーこそパズドラを越えられる」(当時の決算説明会資料)と宣言し、ガンホーの経営と開発の両面を背負ってきたが、10年以上が経った今もパズドラに匹敵する作品は作り出せていない。

森下社長は過去の東洋経済のインタビューで、「失敗する確率も高いが、基本は(IP開発から)自社でやることを第1に考えている。そのため、ゲーム会社というのは財務上の保険が大事だ」と話していた。そうした思いもあってか、ガンホーの手元資金は右肩上がりに膨張し、2023年度末時点の現預金は単体で890億円、連結で1360億円に上る。ヒットの不作が続く中で、これらの資金の使い道が問われた形だ。

焦点はあのオーナー創業者

今後の焦点となるのは、ガンホーの前身企業の設立に関わった、創業者で大株主の孫泰蔵氏の動向だろう。2016年に代表取締役会長職を退き、2020年に取締役も退任しているが、現在も資産管理会社などを通じてガンホー株の17%を保有する。

SCは森下社長と孫氏には面会できていないというが、「報酬の変更理由の開示については賛成のポリシーを持つ日本の機関投資家も多い。孫氏が賛成すれば株主提案が通る可能性がある」(SCの永岡永アナリスト)。

3月に開かれる株主総会に向けて、SCはほかの株主の賛同を得ようと揺さぶりをかけてくることも想定される。沈黙を保つガンホーはそれまでに、株主価値向上に向けた改革について明確な回答を用意してくるのか。

田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ゲーム・玩具、コンテンツ、コンサル業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、医療機器、食品など。趣味は東洋武術。

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