フジ「10時間超え」会見に他社が学べる唯一のこと 怒りや反発を焼き尽くす「焦土作戦」は功を奏した?

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登録申請した媒体や個人が参加でき、さらには質疑応答にも時間制限を設けないという、これはこれでかなり思い切った設定となったのです。ただ、フジテレビを実質的に支配しているといわれる日枝久相談役本人の会見参加を求める声が多数ありましたが、それはきわめて難しいだろうと思われました。

会見当日に先だって、私はさまざまなテレビ番組で取材を受け、ついには当のフジテレビの番組にも出演し、上記のような難しさを説明しました。まず開示できる新たな情報など期待できないし、フルオープンによる不規則発言や妨害のような行為といったセキュリティ上の問題もあり得る、フジテレビにとってほぼメリットが考えられなかったからです。

そして、10時間23分という、例のない長時間会見は行われました。

「ほぼメリットがない」と思われた会見でしたが、私は会見翌日、この成否について、フジテレビのニュース番組で「会見は一定の成果を上げたのではないか」という評価を述べました。

フジテレビ
フジテレビ
フジテレビの株主であるアメリカのダルトン・インベストメンツがフジ・メディア・ホールディングスに送付した書面(画像:ダルトン・インベストメンツHPより)

厳しく追及する質問者がフジを救った?

さまざまなメディア、個人ジャーナリストのみならず、YouTuberなど400人を超える取材陣が詰めかけ、フジテレビに対し舌鋒鋭い質問が飛び交った会見。この様子は、フジテレビが中継し、激しく問い詰められるシーンは一般視聴者にも放映されました。

会見冒頭で「1人2問まで」というルールが司会者からなされましたが、これだけの人数が集まった以上は理に適っていると思います。しかし実際には、1人でえんえんと自説を主張する人、ほとんど同じような質問をする人、禁止された当該女性のプライバシーに直結する質問をする人が目立ちました。

私は別のテレビ局で、会見を見つつ解説するという仕事をしていましたが、私が一番関心のあった事業継続の要である「利益問題」。CMの差し替えによる利益損失やこの先の収益対策、株主対策についてはほとんど触れられていないようでした。

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