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黒門市場「インバウンド肉串」へのモヤモヤの正体 金のない日本人の「静かな排除」が拡大している

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  • 谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家
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ちなみに、2023年度、渋谷はインバウンド観光客の訪問率が1位となった。なんと外国人観光客全体の67.1%が渋谷を訪れているというのだから驚きだ。

このように外国人観光客から絶大な人気を誇っている渋谷だが、この街もまさに「ニセコ化」しつつある。

これまで渋谷は「若者の街」というイメージで語られてきた。センター街(現・バスケットボールストリート)を中心として若者向けの店が立ち並び、少しガヤガヤとした街並みが広がっていた。

2021年にメトロアドエージェンシーが行った東京に関するイメージ調査では、「渋谷」について、回答者の「78%」が「若者向けの」という回答をしたことがわかっている。

再開発で変化する渋谷、「泊まる街」に?

しかしそんな渋谷では現在、100年に一度ともいわれる大規模な再開発が進行中だ。

再開発の中心にいるのは東急グループで、渋谷駅周辺に「スクランブルスクエア」や「ヒカリエ」「フクラス」など、多くの新しい商業ビルを建てている。渋谷を訪れたことがある人ならばわかるかもしれないが、この街はいつも工事をしていて、いつ来ても街並みが変化している。

そんな渋谷はどう変わろうとしているのか。日経クロステックが編集した『東京大改造』は、2030年に東京がどのように変わるのかを取材しており、ここでも渋谷は大きく取り上げられている。この本を紹介した日経クロステックのサイトではこのように説明されている。

高級ホテルが少ない東京・渋谷に変化の兆しが見えている。2024年以降、渋谷を地盤とする東急グループと新たに進出するライバル企業のホテル対決が渋谷駅周辺で本格化する。
再開発が目白押しの渋谷では、大型複合施設の目玉として高級ホテルを誘致する動きが活発である。東京を訪れるインバウンド(訪日外国人)が行きたい場所として名前が挙がる渋谷は遊ぶだけでなく、「泊まる街」に生まれ変わりそうだ。
(川又英紀「渋谷が高級ホテル急増で『泊まる街』に、東急陣営とインディゴやトランクが激突」)

それまで「泊まる」イメージのなかったところに高級ホテルを建設し、インバウンド観光客を取り入れるのが、現在の渋谷の姿なのである。

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また、これだけではなく、例えば、2019年にリニューアルオープンした渋谷PARCOの中には、「ニンテンドーショップ」や「ポケモンセンター」といった海外でも大人気の日本のコンテンツを押し出すテナントが多く入居している。

渋谷PARCOの店長によれば、こうしたショップの人気はすさまじく、多くの人が、これらの場所に立ち寄るのだという(横山泰明「絶好調の渋谷パルコ、23年度の売上高は前年比1.5倍 直近4月も44.2%増 平松店長が語る『インバウンドと改装』」/
「WWDJAPAN」)2024年5月14日。

また、こうした流れに呼応するようにして、渋谷区自体もインバウンド観光客の取り入れに積極的で、渋谷周辺のインバウンド向け観光地の周遊パスの実験などを進めている。

これも捉え方によっては、きわめてニセコに似た展開をたどっている。

もともと、渋谷は、「スクランブル交差点」「ハチ公」「日本のトレンドの集積地」といった、外国人観光客を惹きつける要素を持っていた(ニセコでいえば、「パウダースノー」である)。

そして、そこにやって来た外国人観光客を満足させるようなまちづくりが進められていく。渋谷の場合は、まだ発展の途上にあるが、高級ホテルなどが多く建ち始めた先には、きわめてニセコ的な展開をたどる可能性の高い街だといえるだろう。

ちなみに、今でもたまに渋谷の街を歩くと、そこには多くの外国人が集まっていることに驚かされる。ある意味、外国人からすれば、すでに渋谷は「日本的なるもの」を見ることができる「テーマパーク」なのかもしれない。

【もっと読む】「渋谷→新大久保」若者の街が変遷した本質理由 街全体で「韓国のテーマパーク」への変貌を遂げた では、若者の街が渋谷から新大久保に移っている件について、都市ジャーナリストの谷頭和希氏が詳細に解説している。

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