黒門市場「インバウンド肉串」へのモヤモヤの正体 金のない日本人の「静かな排除」が拡大している

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加えて、このビルが誕生して1年ほどたったあと、現地を訪れたルポによれば「ビル内の居酒屋のメニューは、特段高いというわけではないが、新宿の大衆居酒屋の料金より、少しばかり高く感じてしまう。

近くの居酒屋と比べると1割から2割ほど値段が高く、ちょっとした居酒屋感覚で利用すると、料金はかさむ。そのうえ、チャージ料金も発生しているため、歌舞伎町の居酒屋としては比較的高めの値段になっている」とある(白紙緑「【特別ルポ】ついに撤退した店舗も…オープン当初は大賑わいだった『東急歌舞伎町タワー』の悲惨な現状」)。

施設全体の商品・サービスの料金が少し高いわけである。

大阪「黒門市場」もニセコ化?

こうした流れは東京だけで起こっているわけではない。

例えば、大阪の日本橋にある商店街「黒門市場」も同様の事態となっている。ここは、大阪に格安航空が就航した2011年以降に外国人観光客が増え、今ではそこにいる多くの客が外国人観光客だという。

そして、そこで売られているウニやカニなどは、一般的な日本の市場の価格からすると目が飛び出るような値段。

私も現地を訪れてみたが、中には神戸牛の串焼きが1本4000円、カニの足は4本で3万円と、一般的な感覚からすると信じられないような値段の商品も売っていた。

黒門市場
タラバガニの足は1足4500円。日本人なら到底手を出さない、いや出せない金額感な気がしてしまう…(筆者撮影)
黒門市場
もちろん、地域の住民向けに営業している店も多い。が、一部のインバウンド店によって、イメージが悪化している現状がある(筆者撮影)

こうした店の多くは、コロナ禍で閉店した後に作られ、商店街の振興組合に入っていないお店で、明確に外国人観光客だけをターゲットにしているという。

こうして見ていくと、近年のインバウンド向け国内観光地では、ニセコ的な高価格の設定がかなり意識的に行われていることがわかる。その結果、客層の「選択」が発生しているのだ。

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