上の世代が「欲望を満たす」ために各種メディアを使い、「人と違うこと」をアピールしようとするならば、Z世代はあらかじめ不安要素をつぶし、「安心を得るためにググる(検索する)」ことを繰り返し、SNSなどで「人の共感を集める」ことに苦心しているのです。
あふれる情報の渦の中で必要な情報を得ようとすると、コスパ(コストパフォーマンス)、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視するのも無理のないことでしょう。
昨今は、映画やドラマ、音楽などエンタメ分野を中心に、サブスクリプション(一定期間の定額サービス)が当たり前になっていますが、膨大なコンテンツの中で効率よく情報を把握し、仲間内の話題についていくために倍速でコンテンツを視聴するのも必要に迫られてのものなのかもしれません。
「失敗をしたくない」Z世代
均質性の高い日本社会において、Z世代は公平さと同時に、個性を尊重することを教え込まれてきました。「多様性」はこれからの価値観として受け入れながらも、現実の社会ではこれまでの社会通念や慣習から男らしさ、女らしさなどといった決めつけが根強く残っています。彼らは空気を読むことに長けているため、小さな差別も敏感に察知してしまいます。
だからこそ、「女の子だから野球をやっちゃいけない」、「男の子だから刺繍が趣味なんておかしい」といった風潮には抵抗や引っかかりを感じます。
例えば、理数系は男の子の科目という意識がまかり通っていることに対し、「女の子なのに算数ができてすごいね」などと言われると、(それはいけないことなのだ)とすり込まれてしまい、算数が得意だったはずの女の子が、だんだんできなくなっていってしまうこともあります。
また、規制や締め付けは嫌いながらも、不安定な時代を生きてきたためか、強い安定志向があるのも彼らの特徴です。
地域や経済状況によりますが、上の世代に比べると、高価なブランド品や海外旅行など、これまでなら憧れの対象だった贅沢品を望むことがありません。
それは我慢しているわけではなく、不景気とはいっても、一定の豊かさを享受してきたためなのか、あるいはバブル崩壊後の社会に慣れてしまったということなのか、浮き沈みの激しい贅沢な暮らしよりも、地に足のついた安定した暮らしが続くことをよしとします。
当然、多くの物を所有することを望まず、さらに人とシェアすることにも抵抗がなく、必要最小限の物で暮らす「ミニマリスト」という生き方を追求する人もいます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら