推測統計の「仮説検定」をビジネスで生かす方法 データの差異は誤差なのか、意味のある違いなのかを検証

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先ほどの例でも、友人がジャンケンで勝つ確率は1/3より大きいことを仮定しようとしても、具体的にどれくらいの勝率を仮定すれば良いのか判断に困ってしまいます。

しかし、等号(A=B)で示される仮定であれば、先ほどのように確率は計算しやすくなります。

結局、差があることを示したい場合は差がないことを帰無仮説に設定し、確率を計算します。そうして計算した値が棄却域に入れば、本当に示したい対立仮説を採択できます。

仮説検定は、証明したいことの結論を否定し、矛盾を導くことで証明するいわゆる「背理法」によく似た考え方です。実際、仮説検定のことを「確率付き背理法」と呼ぶ人もいます。

冒頭の問題の【解答】

判断して良い(有意水準を5%に設定)

【解説】

「新製品のほうがおいしい」ことを示したいので、これを否定して、「新製品と旧製品には味の差がない」を帰無仮説にし、「新製品のほうがおいしい」を対立仮説とします。

「新製品と旧製品には味の差がない」という帰無仮説のもとでは、ユーザーはまったくの偶然で、新製品をおいしいと言ったり、そうでなかったりします。つまり、ユーザーが新製品のほうがおいしいと回答する確率は1/2です。

これは、コインを投げたときに表が出る確率と同じなので、帰無仮説のもとでは、30人から回答をもらってn人が「新製品のほうがおいしい」と答える確率と、30枚のコインを投げてn枚が表になる確率は同じと言えます。今回のアンケートでは、21人が「新製品のほうがおいしい」と答えました。

そこで、30枚のコインを投げて表が出た枚数を記録するという実験を200回繰り返し(実際は、ExcelのRAND関数を使って作成)、21枚以上が表になる確率(経験的確率)を考えることにしましょう(どうして21枚「以上」の確率を考えるのかについては後で補足します)。

(出所)『【数学的】意思決定トレーニング』

表を見ると、表が21枚以上になる確率は、

(3+2+0+1+0)/200=6/200=3%

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