推測統計の「仮説検定」をビジネスで生かす方法 データの差異は誤差なのか、意味のある違いなのかを検証
たとえば、あなたの友人に「俺は人よりジャンケンが強いんだぜ」と豪語する人がいたとします。
本当かな? と疑問に思ったあなたが、彼と実際にジャンケンをしてみたところ、彼はあいこなしに4連勝しました。この結果から、彼は本当に人よりジャンケンが強いと言えるのか、仮説検定を使って考えてみましょう。
まず「友人のジャンケンの強さは人並みである」という仮説を立てます。この仮説が正しいとすると、友人が1回のジャンケンで勝つ確率は1/3なので、彼があいこなしに4連勝する確率は、
(1/3)^4=1/81=0.0123…=1.23…%
となります。
これは非常に低い確率です。つまり、あいこなしに4連勝するというのはかなり珍しい出来事だと言えるでしょう。
仮説検定では、「滅多に起こらないようなことが実際に起こったのは、最初の仮説が間違っていたからだ」と考えます。
今回のケースでは「友人のジャンケンの強さは人並みである」という仮説は誤りである、すなわち「友人はジャンケンが人より強い」と判断します。
仮説検定の手順
それでは、仮説検定の手順を説明します。最初に、証明したい事柄を否定する仮説を立てます。この仮説を帰無仮説と言います。この少し変わった名前の由来は諸説ありますが、棄却して無に帰したい(なかったことにしたい)仮説だからこのような名前になったという説が有力です。
帰無仮説のもとで計算した確率がある基準より低くなったとき、帰無仮説は棄却されます。この基準のことを有意水準と言い、帰無仮説が棄却されたときに採択される仮説(=証明したい仮説)は対立仮説と呼ばれます。
有意水準は5%とするのが一般的ですが、学術論文などでは0.01%程度に設定されることもあります。当然、有意水準が低ければ低いほど厳しい検定だと言えます。
先ほどの例の場合、「友人のジャンケンの強さは人並みである」が帰無仮説、「友人はジャンケンが人より強い」が対立仮説です(有意水準は明記しませんでした)。
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