NYタイムズ選定「行くべき場所」山口市の魅力とは 「レコードB面」「控えめな天才性」と評価のワケ

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2016年にまず民泊施設としてスタート※し、その後、法制度変更による民泊としての要件も整え「近々完済します」と経営は順調だ。

※2017年「住宅宿泊事業法」が成立。これにより、それまで法的根拠のなかった「民泊」が法制化されました。

自給自足の民宿で、旅慣れた海外ゲストをもてなす

地域の空き家やご近所さんから年代物の建具、家具、キッチン用品を無料で譲り受ける機会が頻繁にあるのだそう。「内装にも全然お金かけてません」という2人は大学で工業デザインを学んでいて、その目利きによってスタイリッシュでありながらホッとできる空間をつくり上げている。

古民家
壁のカゴ類はほぼもらいもので、野菜の収穫時にも使っている。手前の大きなやかんは蔵の整理に呼ばれたときに発見したもので、冬場は手づくりの薪ストーブの上でたっぷりのお湯を沸かしている(写真撮影/内田伸一郎)
家族
母屋1階の二間を襖で区切って宿泊者専用のスペースにしている。母屋に隣接した1棟貸しもあるが、先に母屋から予約が埋まっていく。「子どもがゲストとの介在役になってくれるんです。その間に夫婦2人で食事の支度ができて大助かり」(賢三郎さん)(写真提供/山根早紀)
自家栽培
米も小麦も野菜も無農薬で自家栽培。パンも味噌も手づくりだ。「子どもたちも美味しいって喜んで食べてくれます」。農業は初めてだったが、地元の農家さんたちが気持ちよく畑仕事を教えてくれた(写真撮影/内田伸一郎)
稲
米も無農薬で栽培。「手間がかかるうえ、稲と稲の間を広くするから収穫量が少なくなるし、先輩の農家さんたちには最初反対されました。でもいまは美味しい!と言ってくれたりしていて。気持ちよく応援してくれています」(早紀さん)(写真撮影/内田伸一郎)

宿泊者の8~9割が海外からで、「大観光地の広島から福岡へ移動のするときのリラックスタイムに山口市を選ぶゲストが多いです」と賢三郎さん。

「WEBサイトで“田園風景”“ファームステイ”といったワードで検索してるみたい。過去のお客さまが書いたレビューを読んで、日本の田舎暮らしを楽しみに訪れてくれています」(賢三郎さん)

だから、ニューヨークタイムズに山口市が観光地として選ばれたというニュースには、

「まずびっくり、そして心配になりました。観光客が来過ぎると好きな場所を好きなタイミングで楽しむことが難しくなってしまう。

でもやっぱり、コンパクトさが魅力だとニューヨークタイムズでも紹介されているように、京都や北海道ほどの観光資源は山口にはないから観光客があふれることもなさそう」と笑う賢三郎さん。

「そもそも、ウチのお客さまは発見力が高いみたい。自転車をお貸しすると小さな神社や季節の花を見つけた、と興奮して報告してくれる。周りの山を見て、おすすめハイキングコースの質問もよくあります。国宝の瑠璃光寺五重塔や明治維新の史跡が有名だけど、同時に日本の田舎を体験できる魅力があるんです」(賢三郎さん)

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