
マーガレット・アトウッド『侍女の物語』斎藤英治 訳/早川書房
『侍女の物語』の舞台であるギレアデ共和国は、近未来の米国で、クーデターにより誕生した家父長制的な全体主義国家だ。かつて主人公は夫と娘と暮らし、仕事もしていた。自分の体は「わたし自身のもの」であり、喜びや自己実現の手段だった。
奪われた「私の身体」
共和国の成立を受け、主人公は亡命を試みたが捕まり、家族も仕事も財産も奪われ、支配階級のために子どもを産むことだけを存在意義とする〈侍女〉にさせられた。自分のものではなくなった体を、主人公は「西洋梨の形をした中心物のまわりに凝結した雲にすぎない」と嘆く。
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