NYタイムズ選定「行くべき場所」山口市の魅力とは 「レコードB面」「控えめな天才性」と評価のワケ
山口市と近隣市町村を対象にした旅行業を営む丸本 華代(まるもと はなよ)さんによると、「大内氏の館があったのがいまの山口市の中心地。応仁の乱の際には、荒れた京都を逃れた多くの文化人たち、例えば雪舟、を受け入れて活動を支援した」のだそう。
さらに、山口市といえば維新の舞台。
地元・長州藩はもちろん、薩摩藩や土佐藩からも志士が集い、密談を行ったという史跡が街中に点在している。
「歴史を振り返ると、他の地域や国からの文化や客人を違和感なく受け入れる気質が山口市民の私たちにはあるのかもしれません。暮らしていてもそう感じる場面が多々あります」と語る丸本さんが、そんな山口市の魅力を暮らしで体現する人々・スポットを余すことなく紹介してくれた。山口市の“『B面』(控えめな天才性)”とは、どのようなところなのだろうか。
山根さん夫妻が経営する「超民家やまね」
まず、丸本さんが「山口市に根付いた何気ない生活を魅力として、民泊を通し他の国の人に発信してくれている」と案内してくれたのは、山口市内の中心地から車で30分ほど、田畑に混在して立つ古民家。山根賢三郎さんと早紀さん夫妻が経営する「超民家やまね」だ。
2人は千葉の大学時代からの友人。大学を卒業して、たまたま同時期の渡航となったオーストラリアのワーキングホリデーで意気投合、現地で貯めたお金を元手に1年間ヨーロッパを巡り、賢三郎さんの地元・山口市に2015年に戻ってきた。
「山口市に戻って事業を始めたい」と、賢三郎さんは学生時代から決めていたのだそう。
「東京でも暮らしてみたけど、ごちゃごちゃしすぎて自分には合わなかった。ヨーロッパ旅行で一番心に残ったのは、メジャーな観光地よりも小さな街の民泊で過ごした時間でした。自分もそんな民泊を地元でやりたいと思い立ち、旅行中から空き家バンクで物件探しをしていました」(賢三郎さん)
不動産価格の安さも山口市の魅力だった。広大な田畑の土地代も含めた古民家の価格は約200万円、と格安にも感じるが、「相場だと思います」と夫妻。