
「自社の強み」を正しく認識してXに活かすことは思っているよりも難しいことに注意が必要です(写真:チキタカ(tiquitaca)/PIXTA)
ローランド・ベルガー、KPMG FASなどでパートナーを務め、経営コンサルタントとして「40年の実績」を有し、「企業のDX支援」を多く手がけている大野隆司氏。
この連載では大野氏が自身の経験や大手・中小企業の現状を交えながらDXの効果が出ない理由、陥りやすい失敗、DXの将来性について語る。
今回は「NYタイムズがなぜ大復活できたのか」を検証する。
なぜ「デジタルの購読料で稼ぐ」意思決定ができたか
前回の記事(NYタイムズ「なぜ"大復活"できたか」日本への教訓)では、NYタイムズの「DXの成功」を紹介しつつ、DXに取り組みながらも思うような成果が出ていない企業への示唆を考えました。
これらの企業は往々にして、「DXによって実現したいX(トランスフォーメーション、以下「X」とします)」が定まっていないこと、それを決めるのはやはり経営者の仕事であると述べました。
ただ、そうはいっても、「X」を定めることは、多くの経営者にとって簡単なことではないでしょう。
ビジネスのキャリアの中で、非連続的な成長や大規模な変革のアイデアづくりや意思決定の経験が豊富ではない人も多いはずです。
NYタイムズは「(デジタルの)購読料にシフトする」という「X」を定め、推進したことで成功を収めてきたわけですが、ここで気になるのは「NYタイムズは、なぜデジタル購読料を稼ぎの中心に据えることができたのか」という点です。
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