実をいうと、獣医病理医として、ヘビの病理解剖の際には独特の緊張を強いられます。体がくねくねと動いてハンドリングが難しいことに加え、やはり鋭い歯が最大のネックとなります。
以前、動物園で6メートルのオオアナコンダの出張病理解剖を行ったとき、誤ってその鋭い歯で指を刺してしまったことがありました。
ヘビの歯は非常に鋭いので、刺さっても意外と痛みを感じません。そのときもちょっと歯に触れただけでしたので、当初は手袋が傷ついただけで指は無事と思っていました。
しかし、解剖後に手袋を外してみると、指から出血していることに気がついたのです。
幸い毒を持たない種であったものの、明らかに何らかの感染症で死亡していたので、傷口から病原体が体に入ってきてはいないかと、その後しばらくハラハラしながら過ごしたものです。
ヘビの病気解明にさらなる進歩を
今年も僕は、緊張を抱えながら何匹ものヘビを解剖することになるでしょう。「進歩の年」とされる巳年。1匹のヘビの死も無駄にすることなく、ヘビたちの命を通して、ヘビの病理学をさらに進歩させる――それが今年の僕の抱負です。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら