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わずか3年で3割値上げ「大戸屋ランチ」変化の実情 物価高の時代、庶民の味方は今もコスパ最強だ

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  • 大関 まなみ フードスタジアム編集長/外食ジャーナリスト
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こうした手間ひまをかけて美味しさを追求しているのが大戸屋の最大の価値だ。アルバイトはホールもフルサービスで大変だったが、キッチンもたくさんの調理工程に、非常に多いメニュー数をさばくのが大変で、すぐに辞める人も少なくなかった。

そうした強みがうまく消費者に伝わっていないことが、大戸屋の客単価上昇を妨げているのではないかと考える。

今でも覚えているのが、お客に「どうせ全部冷凍なんでしょ」と言われたことだ。厨房では手間ひまかけて調理している様子を見ていた私にとって衝撃的だった。大戸屋はファミレスで例えるならロイホ並のクオリティなのに値段はジョナサン。もっと自信を持っていいのではないかと思う。

大戸屋はよりお客と店の双方にメリットがある形でサービスを簡素化し、同社最大の価値である店内調理の美味しさを消費者に上手にアピールしてほしい。

そうすれば誰もが納得するかたちで客単価の向上し、客離れを起こさず「大戸屋ランチ」をはじめ多くの商品を1000円超えにできる日が来るはずだ(とは言え、消費者としては歓迎したくない気持ちも残るかもしれないが…)。

一方で、改善したほうがいいかもなサービスも

このように、価格とクオリティ、接客サービスを高いレベルで共存させている大戸屋だが、筆者としては「改善したほうがいい」と感じるサービスもある。食後の「ほうじ茶」サービスだ。

大戸屋では定食を食べ終える頃、あたたかいほうじ茶をサービスしている。これも筆者のアルバイト時はスタッフが常にお客の食事の進行具合を見て、淹れたてを用意しなければならなかった。

店が忙しく、お客も急いでいたりすると、お茶を出せずに帰ってしまう場合もたまにある。お客側は気にしていないかもしれないが、店員としては申し訳ない気持ちになった。

現在は、最初にお冷やとお茶が同時に出てくることが多い。おそらく食後のタイミングを見計らうほどのマンパワーがなく、苦渋の選択として最初に出しているのだろう。だが、食後にあたたかい状態で飲むからこそのお茶だ。先に出されては飲む頃には冷めてしまうのも事実だ。

筆者が利用した店舗では最初にお冷やとほうじ茶が同時に出てきた。飲むタイミングに迷う(筆者撮影)

帰り際に小さなサプライズをすることでお客の記憶に残り、再来店を促す。こういう施策は飲食店の常套手段で、大戸屋もそういう意味でお茶を出してたはずだ。

食後にあたたかい状態で出せるほどのリソースがないならば、いっそのことやめてみるのもアリかもしれない。

その場合、消費者としては悲しい変化になるわけだが、経営が難しくなっては元も子もない。時代に応じて無理のない運営に変えていくのも、企業側の責務だろう。

【もっと読む】大戸屋が挑戦「1980円・高級すき焼き」の"実力" ペッパーフードも同種の業態出すも狙いは異なる では、外食ニュースメディア「フードスタジアム」の編集長である大関まなみ氏が、大戸屋が提供する期間限定メニュー「国産黒毛和牛のすき鍋」について、専門家の目線から詳細に解説している。

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