池袋西武の全面改装で危ぶまれる25年夏の開業 複雑な構造の建物に対応できず工事に大幅な遅れ

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縮小

事情に詳しい関係者によれば、新経営陣はここのところ売り上げが芳しくない紳士服や婦人服といったアパレル売り場にメスを入れ、売り場面積の大幅縮小を指示。百貨店のメイン商材であるアパレルを、容赦なく切り捨てる方針を示したという。

そのうえで高級ブランドや食料品売り場については、出店しているテナントを売り上げや利益貢献度の大きい順に機械的に並べ、高級ブランドについては上位10社程度、食料品については上位20社程度に絞り込む。そして、それ以下は事情にかかわらずすべて撤退させろとの指示が飛んだというのだ。

百貨店は専門店などと違って独自の世界観がある。また「百貨」の名のとおり、売り場に並んでいるさまざまな商品を比較して買い回りをしたり、ついで買いを楽しんだりする業態である。「それができるのは比較対象となるテナントがあってこそ。“上位”の会社だけの商品を並べるなど、百貨店の常識からしてあり得ない」「百貨店の常識を知らない投資ファンドが机上だけで考えそうなこと」「これではフォートレスが買収時に掲げた“百貨店の再成長”は達成できない」。そごう・西武関係者からはこんな戸惑いの声が上がった。

そごう・西武の苦い過去

実はテナント選別について、そごう・西武には苦い過去がある。不振に陥っていた西武の静岡店や船橋店において、光熱費などが高止まりして利益率の低かったレストランを閉鎖し、当時、最も利益率が高かった婦人服フロアを増やしたのだ。

ところがレストランがなくなってしまったことで来店客数が減少。その結果、婦人服も売れなくなり店舗全体の売り上げも激減してしまったのだ。こうした経験から、数字だけを見てテナント数を変えると失敗するというのが社内の“常識”になっていた。今回も、もし機械的なテナント選別方針を実行に移すなら、すでに出店しているブランドやテナントの反発は避けられないだろうと思われた。

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