池袋西武の全面改装で危ぶまれる25年夏の開業 複雑な構造の建物に対応できず工事に大幅な遅れ
商品戦略でも消化仕入れとテナント契約の割合を7対3から3対7に逆転させるという。
ところがだ。事情に詳しいそごう・西武関係者によれば、「実際の改装工事はかなり遅れており、2025年夏のオープンは到底無理だろう。2025年中に完成すればいいくらい」という。
この幹部は、「長期間、売場が工事で閉鎖するような事態となれば、ラグジュアリーブランドは離れていくし売り上げも大幅ダウンとなる可能性がある。親会社がセブン&アイからフォートレスに変わっても、結局赤字のままで再建できないのではないか」と懸念を示す。
池袋西武でいったい何が起きているのか――。
「ラグジュアリーブランドや食料品など領域ごとに、売り上げと利益貢献度の大きい順に上から並べて提出してほしい」
2023年9月中旬、そごう・西武の商品担当者ら幹部は、新たに就任した経営陣たちから呼び出され、こう切り出された。経営陣は着任からまもなく、幹部たちはてっきり池袋西武の現状の説明から始めるのだろうと考えていた。ところが、新経営陣の口から出たのは想像もつかない言葉だった。
厳しいテナント選別
「新たな池袋西武では、ラグジュアリーブランドについては上位10社程度、食料品については上位20社程度に絞って、そのテナントだけを入れる」
2024年9月1日、フォートレスに売却されたそごう・西武は経営陣を刷新、代表取締役社長を務めていた田口広人氏は代表権のない取締役社長に降格、新たにフォートレス日本法人の劉勁氏が代表取締役に就任していた。あわせてそれまで取締役を務めていたそごう・西武出身者は軒並み降格、代わってフォートレス日本法人のメンバーが乗り込んできた形となっていた。一言で言えば、フォートレスが経営サイドに陣取って再建を主導、降格されたそごう・西武の幹部たちは執行サイドで実働を担う体制になったわけだ。
新経営陣は早速そごう・西武の再建に向け、売り場や運営方法に関する計画策定に着手した。なかでも旗艦店である池袋西武にはヨドバシカメラの出店が決まっており、百貨店はこれまでの半分程度の面積で運営しなければならない。そこで飛び出したのが“テナント選別”だった。
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