池袋西武の全面改装で危ぶまれる25年夏の開業 複雑な構造の建物に対応できず工事に大幅な遅れ

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また社長の田口氏も、「百貨店のフルターゲット、インキュベーションの理念は通用しないのに、そこにこだわり続けてしまった」「2度も失敗はしたくない」と語った。

これまでにない百貨店経営への挑戦という意味で、その成否は今後に委ねられることになる。だがそれ以前に、こうした挑戦の舞台となる池袋西武の改装工事自体が遅れに遅れている。前述したように、2025年夏どころか2025年いっぱいに完成すればいいほうだというのだ。

じつは池袋西武は、1940年(昭和15年)に前身となる武蔵野デパートが開業して以来、増床に増床を重ねて今の形となっており、全面改装は初めてのことだ。そのため、そごう・西武の関係者によれば「内部はまるで香港の九龍城砦のような複雑怪奇な作りになっている」といい、「これまでの増床や改装は、そうした建物の構造が理解できる業者が工事を担ってきた」という。

工事長期化なら影響は大きく

しかし今回は、「そうしたなじみの業者ではなく、ヨドバシカメラ関連の業者が工事を担っている。そのため、建物の構造を理解することから始めなければならなくなり、工事が大幅に遅れている」(そごう・西武関係者)というのだ。

さらに「そうした業者問題も含めて計画の甘さも露呈した形。このまま工事が長引けば、ラグジュアリーブランドをはじめとするテナントも嫌気が差して逃げる可能性もあり、もはやグランドオープンを宣言できるのかも不安視されている」と関係者は明かす。

『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』でも詳細に述べてきたが、そごう・西武の売却をめぐっても紆余曲折があって、最終的にフォートレスに売却されるまでにはかなりの時間を要した。売却後もこうした状況で、果たしてそごう・西武の再建を果たすことができるのか、先行きはまだ見えない。

田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』が小社より24年12月発売予定。

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