NHK朝ドラ「まれ」にイラッとする人の目線 その姿勢は公共放送に相応しいのか

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たとえば、ドランクドラゴン塚地武雅演じる寺岡真人。郵便局員のはずが、昼夜問わず、いつもたまり場になっている美容室「サロン はる」にたむろしている。いったいいつ仕事をしているのか。能登の郵便局員はあんなにもヒマなのだろうか。

その「サロン はる」だが、お客以外の村人がいつもたむろしていて、こんな店、入りづらくてしょうがない。店主はる(鈴木砂羽)は、まれの息子・巧がいなくなった時には、カットの途中にも関わらず、お客をそのまま置き去りにし、巧を探しに行くという展開に。どこの世界にそんないい加減な美容師がいるのか、とツッコミを入れてしまった。

「サロンはる」の娘・一子(清水富美加)。希の同級生で、ずっと東京に憧れを抱き、モデルになるためのオーディションを受けるも落ち続け、仕方なく理容学校へ。が、夢を捨てきれず、大阪に行き、アパレル店員になる。その後、東京でアパレル店員からキャバ嬢へ。そして、人気ブロガーから現在はフリーライターに収まっている。夢破れた果てにアパレル店員やキャバ嬢があるという描き方がいただけない。第一、プライドを持ってキャバ嬢をやっている人に失礼だ。

デイトレーダーは「子どもに言えない」仕事なのか?

柳楽優弥演じる大輔が風来坊のような生活をしているので、てっきりフリーターかと思ったら、突然、司法書士だったとわかりビックリ。希の弟・一徹(葉山奨之)も高校を出てデイトレーダーになった。

司法書士もデイトレーダーもそんなお手軽な仕事なのか。と思いきや、一徹は子どもが出来たのをきっかけに、働く背中を見せたいと、塩田を継ぐなどと言い出した。塩田に関しては、そんなもやしっ子が簡単にやれるものではない、と多少修業する場面はあったが、逆に、「デイトレーダーは子供に言えないような仕事なの?」という疑問も出てくる。

言い出したらキリがないが、いろんな職業の人が出て来ながらも、その仕事の部分がほとんど描かれないので、実に嘘くさい。出てくる人出てくる人、みんな仕事を舐めているとしか思えず、時折、思い出したように仕事にまつわるエピソードが出てきても、説得力もなく、とってつけた感じになるのだ。

まれの人格形成に多大な影響を与えた父・徹(大泉洋)などは、自己破産し一家で縁もゆかりもない能登へやって来て、仕事もなくブラブラしていたかと思ったら妻子を置いて放浪の旅へ。帰って来てようやく見つけた仕事は役所の清掃員。その後、IT企業を立ち上げて成功を収めるも、倒産して部下の恨みを買い、家族を守るためにまたもや失踪する。ラストを前に、その失踪した徹が埼玉のビルで清掃員をしていたのを見掛けたという話が出てきた。これとて、落ちぶれた人間の仕事は清掃、成功者はIT社長と、いかにも安易で呆れる。

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