NHK朝ドラ「まれ」にイラッとする人の目線 その姿勢は公共放送に相応しいのか

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この夏のドラマを例にとる。一度でも視聴率15%を超えたのは杏主演「花咲舞が黙ってない」(日テレ系・水21時台)のみ。さらに一度でも2ケタ獲ったのは、「恋仲」(フジ系・月21時台)、「刑事七人」(テレ朝系・水21時台)、「探偵の探偵」(フジ系・木22時台)、「ど根性ガエル」(日テレ系・土21時台)、「ナポレオンの村」(TBS系・日21時台)、「デスノート」(日テレ系・日22時台)で、うち、平均視聴率で2ケタを超えたのは、大河ドラマ「花燃ゆ」を除き、「花咲舞~」「デスノート」「恋仲」の3本のみだ。

「まれ」の視聴率の話に戻れば、平均20%超えは月~土朝8時から放送する地上波(NHK総合)のみでのカウント。地上波ではほかに、12時45分からの再放送、また、ダイジェスト版として、20分間の「◯◯(ここにタイトルが入る)一週間」(「NHKとっておきサンデー(総合/日曜午前11時~)内で放送」、「5分で『◯◯』」(総合土曜午後2時50分~/日曜午前5時45分~)、さらにBSプレミアムでも、「月~土 午前7時30分~と 午後11時~」の2回、さらに、土曜午前9時30分からは1週間分をまとめて放送している。 

NHK朝ドラの影響力や経済効果はかなり大きい

つまり、数字には表れていない視聴者を含めると20%どころではないことがわかる。真の“国民的ドラマ”と言っていいのはNHK朝ドラだけ。つまり、それだけ社会的な影響力も経済効果もあるワケで、たかが朝ドラなどと笑っている場合ではない。

東洋経済オンライン編集部に意見を寄せてくれた読者と実は同じ思いを抱きながら、この半年間、眉間に皺を寄せながら、「まれ」と付き合ってきた筆者の立場からも、最終回を前に検証してみたい。

2015年4月のスタート前、某新聞に「朝ドラ『まれ』はヒットしますか?」とコメントを求められたことがある。その時、筆者は「朝ドラには女の一生を描くものと、ある限られた時期の成長を描く2種類がある。『まれ』は後者で、パティシエのお話ということなので、ヒットするには『あまちゃん』の成功体験を忘れることと、パティシエを描くお仕事ドラマなら、その仕事をきっちりと描くことができればヒットするでしょう。とはいえ、朝ドラの視聴習慣ができていて、よっぽどでない限り、視聴率は取れる」と答えた。

今、『まれ』の最終週を前に思うことは、結局、「パティシエの仕事がちゃんと描かれなかった」ということに尽きる。パティシエだけではなく、数多くの職業に対してリスペクトが感じられない。いくらドラマだとしてもリアルな世界からかけ離れている描写が多すぎるのだ。

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