停戦に向けてウクライナに残された3つのシナリオ トランプ新大統領は早期停戦をまとめられるか

✎ 1〜 ✎ 180 ✎ 181 ✎ 182 ✎ 183
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

第3は、ウクライナを2つに分割するモデルだ。これがもっとも現実的、利点のあるモデルであるという。それは、1つは反ロシアのウクライナであり、ウクライナの西側地域でNATOの保護の下に入り、ポーランドやハンガリー、ルーマニアの影響を受ける「自由ウクライナ」である。これは西欧とロシアの緩衝地帯を形成する。

もう1つのウクライナは「新ウクライナ」であり、ウクライナ・ナショナリストを排除した国家であり、ファシズム的イデオロギーを持たないウクライナであるという。この国家は経済的にロシアに統合され、政治的に中立を保つ。

この新ウクライナは、ソビエト時代の共和国より独立性を持つという。このウクライナはロシア経済圏、そしてユーラシア経済圏に包摂される。その場合、ウクライナのオリガルヒ(新興財閥)も排除される。

こうして新ウクライナは東スラブ文明の一翼として存在し、独立した旧ソビエト国家と同様に、ロシアとの密接な関係を保つ国家となり、ウクライナ正教会が新しい国家の精神的支柱となるという。

ロシアとの関係は切れないのか

以上がトレーニンの主張のあらましであるが、いかにもロシアらしい、ウクライナとしては承服しがたい未来像だ。ウクライナをロシアと同じ東スラブ文明の一員と位置づけ、ロシアとの密接なつながりが強調されているからである。

第1のモデルは「完全なロシア化」であり、そのためには戦争は今後も続き、完全なウクライナの敗北まで終わることはないだろう。だから、実現性のあるモデルではない。

第2のモデルは、ウクライナの敗北が完全な主権喪失になり、シリアやイラクのようなアナーキーな国家として混沌とした状況の不安定地帯としてのウクライナが続く。

ゼレンスキー政権が内部崩壊し、無政府状態が続けばその可能性はあるが、望ましい状態ではない。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事