停戦に向けてウクライナに残された3つのシナリオ トランプ新大統領は早期停戦をまとめられるか

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これをゼレンスキーは今のところ受け入れるつもりはないのだが、ロシアに侵攻して獲得したクルスク地域も今や風前の灯火となり、東部地域は毎日のようにロシアの占領地域が拡大している。NATOの支援がなくなれば、残りのウクライナ地域ですら、持ちこたえられないかもしれない。

最近、ロシアのテレビ局RTのウェブ版に掲載された、ロシア国立研究大学経済高等学院教授のドミトリー・トレーニン氏の「ロシア勝利後のウクライナはどうあるべきか」という論稿が興味深い。ロシア側に都合のいい論理ではあるが、ロシア側の見方の1つとして紹介してみたい。

ロシア側が描く将来の見取り図

そこにウクライナの将来の見取り図がある。それによるとウクライナは、もはや1991年12月31日に独立したときの国土を持ちえないという。クリミア、ドンバス、そしてザポリージヤ、ルガンスクはすでに国民投票によってロシアとなっている。さらにおそらく、オデーサ、ドニプロ、ハリキウもロシアとなるだろうと。

ではウクライナとして残る地域はどうなるのか。モスクワの歴史的使命はドンバスや新ロシアの解放では終わらない。ウクライナをファシストであるバンデラ主義者から解放することが目的であるという。

ウクライナはそこに住む人々のものであるが、ロシアはそこに住む人々と土地にしっかりと根付いていて、ウクライナを復興させる義務を負い、同盟として平和的なパートナーにする義務があるという。こうした考え方から、戦後のウクライナのモデルがいくつか出される。

第1は、ロシアによる完全統合のモデルだ。ロシアはウクライナをリヴィウまで、NATOの境界まで統合するという案である。これはウクライナをソ連時代のようにロシアに再統合するというモデルである。これによってロシアへの挑発と攻撃を完全に防ぐことを実現するというのだ。

第2は、破綻国家としてのモデルだ。西欧に捨てられた破綻国家として断片的に存在するというモデルである。これはアナーキー(無政府)な、カオス国家といえる。だからこそ不安定であり、ロシアとしては承認しがたいという。

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