JAL「パイロット飲酒問題」、現場の警告は届かず 客室乗務員や整備士は不安の声を上げていた

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JALは2018年、2019年と立て続けに飲酒問題で事業改善命令を受けるという前代未聞の事態となっていた。2024年5月にも機長が過度の飲酒でトラブルを起こすなどし厳重注意を受けた。JALはそのたびに再発防止を誓ってきた。なぜ、飲酒問題は繰り返されるのか。

今回の件で国交省は、副機長の自主検査では当初、検知器を変えても、うがいをしても、アルコールは検知されていたと事実認定している(検査数値は非開示)。

だが、自主検査に立ち会った空港職員が状況を東京のオペレーションセンターに伝えたところ、最終的に自主検査でのアルコール検知は「誤検知」と判断されてしまった。

「誤検知」と軽々に判断?

「オペレーションセンターおよび乗員サポート部は、現地からアルコール検査で数値が確認されたとの連絡を受けた時点で、誤検知の可能性があるのではないかと考えていた」とJALは説明する。その後、運航サポート部は最終的にアルコール値がゼロになったことをもって「誤検知」と判断したという。

しかし、3時間も出発を遅らせたうえで「ゼロ」になったことに疑問を抱かなかったのだろうか。ある航空業界関係者は、「アルコール検査で数値が確認されれば、われわれはまず過剰飲酒の可能性を考える。最初から誤検知を疑ったら検査の意味がない」と話す。

現場を熟知するJALのOBも首をかしげる。

「なぜ、東京では軽々に誤検知と判断したのか。アルコール検知も疑われる事案で日本時間の午前中に3時間以上も遅延している。南運航本部長にも情報が届いて然るべき事案だ。安全統括管理者である赤坂祐二会長の責任も含め、会社の安全管理体制の根本が問われる問題だ」

前出の秀島氏は、「運航ありきの事なかれ主義の典型だ。大勢の乗客の命を預かる航空会社の体をなしていない」と厳しく指摘する。

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