結局、ゆっくり写真を撮りながら見て回っても、1時間程度で網羅できてしまった。不思議なことに、活気のある市内のモスクとは異なり、ワールドセンターではほとんど誰とも出会わなかった。
別日に訪問したときも、がらんとしていた。信者ですらここへ熱心に通っていないのであれば、なおさら、なぜここに新国家を建国しようというのか、疑問が湧く。
この国で新国家を設立する意図とは?
アルバニアのエディ・ラマ首相によれば、このミニ国家は「穏健主義、寛容、平和的共存の新たな中心地となる」のだという。
しかしなぜ、為政者自らが進んで別国家を国内に建設しようとしているのだろうか。しかも、この国の多数派であるイスラム教スンニ派のためではなく、人口の2%しかいないベクタシ教団のために。
前述のように、アルバニアではすでに異なる宗教が調和しながら世俗的に信仰されている。ベクタシ教団だけを優遇することは、むしろこの宗教的寛容さにひびを入れることになりかねないのではないか。
ベクタシ教団の宗教的指導者ババ・モンディは、「すべての決定は愛と優しさをもって下される」「ベクタシ教団は国家を持つに値する」と述べている。しかし、教団にとってなぜ新国家が必要なのか、その理由についてはまったく説明されていない。
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