モスクを案内してくれたムスリムの男性は、「僕はこの広場のハーモニーが好きなんだよ」と語ってくれた。異なる宗教の施設が、場所を隔てられることなく共存している。この宗教における寛容さが、アルバニアという国の大きな魅力なのだ。
でもなぜ、この国でわざわざ一宗教だけを優遇するような、新国家設立計画が進んでいるのだろうか。
いざ「ベクタシワールドセンター」へ
ベクタシ教団の本拠地である「ベクタシワールドセンター」は、アルバニアの首都ティラナの中心部からおよそ3km、ダジティ山のふもとにある。ほかのイスラム教の宗派と異なり、ベクタシ教団はモスクを持たない。そのためここは「センター」と名づけられている。
壁で囲まれた敷地の中には、礼拝のためのビルディングや、テッケと呼ばれる社会奉仕活動のための集会所、指導者の墓廟などが建てられている。
その奥には、敷地の3分の2を占める広大な庭園が広がる。この敷地がそのまま新たな宗教国家になると発表されている。
その面積はわずか0.11平方kmで、バチカン市国の4分の1程度。国家ができたとしても、700万人もの信者がここに移り住めるとは想像しにくい。
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