阪神・淡路大震災30年「都市直下地震」怖さと備え 都市部に住む人が押さえたい「5つのポイント」
さらに、2000年基準の住宅の1.5倍の強さを持つ「耐震等級3」を取得した住宅では、震度7の揺れを2回受けた熊本地震でも中破以上の被害がなく住み続けられたというデータもある。
これらのことから、新築住宅であれば可能な限り「耐震等級3」の住宅とすることが望ましい。耐震性は設計だけでなく、施工不良を防ぐためにチェックなどを行うことも重要だ。第三者の専門家によるチェックも活用したい。
既存住宅では、旧耐震基準の住宅では、自治体が耐震診断・耐震補強に補助制度を設けているほか、最近は新耐震基準を対象とする自治体も増えてきている。まずは揺れによって我が家が"凶器"となってしまわないよう、耐震性をチェックしたい。
怖いのは火災
耐震性は何もせずに維持できるものではなく、適切なメンテナンスが重要である。
特に木造住宅においては雨漏りや木材の腐朽、シロアリによる蟻害などが発生すると耐震性が劣化する。特に、雨漏りによって湿気が多い状態になると、木材の腐朽やシロアリによる蟻害が発生しやすくなる。
阪神・淡路大震災で被災した建物の腐朽や蟻害による被害を調査した報告では、倒壊した建物の多くで腐朽や蟻害が確認されたことも報告されている。腐朽や蟻害がある建物は築年数や地域を問わず、地震による大きな被害を受ける可能性が非常に高いのだ。
こうした被害を防ぐためには、初期の耐震性を確保するだけではなく、耐震性を保つための定期的な性能維持(メンテナンス)が重要だ。雨漏りなどが起きていないか、台風や中規模の地震などがあった際にも、壁に染みやひびなどが発生していないか点検し、異常がある場合には専門業者へ点検を依頼することが望ましい。
耐震性の維持は、家屋の倒壊によって住んでいる方が圧死するのみならず、地震があった際の地域住民の避難行動や消火・救助の妨げになるリスクを防ぐ観点からも重要である。
阪神・淡路大震災では火災による被害も甚大だった。総務省消防庁のまとめでは、推定含め285件の火災が発生(建物火災は261件)した。中でも、住宅が密集していた神戸市長田区では7000棟近い建物が消失したとされる。
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